ベガルタ仙台はアルビレックス新潟に2-1で勝利し、J1ホーム戦の連敗を4で止めた。後半に先制を許したが、途中出場のFWクリスラン(25)が2得点を挙げて逆転に成功。同38分に同点PKを決めると、直後の同39分にMF永戸勝也(22)のクロスに、ジャンプしながらの左足ボレーで、相手GKが1歩も動けないスーパーゴールを決めた。J1ホーム4戦で3得点の点取り屋の活躍で、2月25日開幕戦(対札幌)以来約3カ月ぶりのホームでのリーグ戦白星をサポーターに届けた。

 同点に追いついた1分後、とてつもないゴールが飛び出した。左サイドの永戸が送った好クロスに「待ってました」と、クリスランは目を見開きながら構え、左足でトラップ。素早く反転してジャンプすると、左足ボレーがうなりを上げる。相手GKは1歩も動けない、ユアスタ史に残るであろうスーパーゴールが決まった。日本を98年W杯初出場(フランス大会)に導いた元代表、新潟呂比須監督に「あのトラップは普通じゃない。素晴らしかった」と言わしめた。

 クリスランは「格好つけようとしたわけじゃない。あのようにしかできなかった」と言うが、アクロバチックな動きは代名詞。ゴール後に披露する迫力のバック転には、身体能力の高さがうかがえる。「いいトラップができた。自分の中でも興奮している」と喜んだ。

 この日、同じブラジル出身のMFパブロ・ジオゴ(24)の契約満了が発表された。互いの家を行き来し、バーベキューも楽しんだ。「一生の友人ができてよかった。彼のためにもゴールを決めたかった」と、ゴール後はピッチに顔をうずめ、感謝した。

 目標ゴール数は背番号と同じ「20」。故障で出遅れたが、これで10戦6ゴール。今のペースなら可能性は十分。永戸の成長も好材料だ。FW石原直樹(32)からの「FWを見ろ!」の金言を愚直に実行。前に抜け出すクリスランの動きを見逃さず、「やっと試合で出せた」(永戸)。クリスランも「勝也との連係も良くなっている」と満足の表情を見せる。

 今季新戦力による、強力なホットラインの誕生だ。ベガルタの逆襲が、ここから始まる。【秋吉裕介】