清水エスパルスはアウェーでベガルタ仙台と0-0で引き分け、J1残留へ貴重な勝ち点1を手にした。エースFW鄭大世(33)を負傷で欠いたが、リーグ19戦ぶりに出場したDF犬飼智也(24)、主将マークを巻いたMF竹内涼(26)らを中心に、全員がファイトした。順位は14位のままだが、15位の甲府とJ2降格ライン16位の広島が黒星。広島との勝ち点差は、2から3に広がった。

 後半ロスタイム4分。相手の強烈なシュートをGK六反勇治(30)がセーブした。前にこぼれたが、必死に右手を伸ばしてキャッチした。直後に試合終了。駆けつけた約1000人の清水サポーターは、必死に勝ち点1をつかんだ選手たちをたたえ、「エスパルス」のコールを繰り返した。

 2試合ぶりの完封。守備のブロックを作りながら、相手DFラインの裏を突く戦術を徹底した。六反は、フィールドでの一体感を後方から見守り、燃えていた。「みんながあれだけ走ってくれたら、GKは守らないといけない。まとまって、チームとして機能できたことが大きい」。

 相手にボールを保持される苦しい展開ながら、集中力を保って体を張った。出場停止のDF松原后(21)の代わりに最終ラインに入ったMF清水航平(28)は後半25分、相手の腕が顔に当たり、鼻の両穴から出血した。ユニホームは血まみれになったが、プレーが切れるまで守備を続けた。「バタバタの展開だったけど、抑えるところで抑えられました」。

 まさに「チーム一丸」だった。前日20日、仙台市内の宿舎で選手ミーティングを行った。リラックスルームに全員が集まり、約30分間、試合の入り方、全体が連動する守備を確認。その上で「最後、みんなで笑って終わろう」でまとまった。試合中もベンチのGK西部洋平(36)、DF角田誠(34)らが懸命に声を出していた。犬飼は「チームとしての軸を再確認できた。ベンチからの声も聞こえて、チーム一丸となって戦えた」と話した。  勝ち点は30に到達。J2降格ライン16位広島との勝ち点差は3に広がり、3点リードされていた得失点差は、マイナス17で並んだ。小林伸二監督(57)は「アウェーでの勝ち点1は、次につながる」と言った。それでも油断できない残り4試合。J1残留のために、チーム一丸は続く。【保坂恭子】