川崎フロンターレがガンバ大阪を1-0で下し、初タイトルに望みをつないだ。

 序盤からボールを支配し、再三、シュートを打つも、G大阪のGK東口の神がかった好セーブが続き、得点につながらなかった。後半37分。10本目のCKを獲得すると、キッカーのMF中村憲剛(37)は右CKのポイントで考えていた。「ニアに蹴ったときははじき返されている。ファーに蹴れば何かが起きるかな」。ファーに蹴ると、MF家長が頭でしっかり合わせた。相手DFに当たってはね返ったが、そのこぼれ球を、DFエウシーニョが左足で流し込んだ。

 中村は「アドリブに近い形だったけど、アキ(家長)とエウソン(エウシーニョ)がしっかり合わせてくれた。変えたときに、しっかり周囲が反応してくれた」と振り返った。守備でも中村とFW小林悠が前線から激しくプレスをかけ、相手の攻撃をわずかシュート1本に抑え込んだ。

 4日のルヴァン杯決勝ではC大阪に敗れ、目の前のタイトルを逃した。切り替えるのに1週間を要したが、今週に入り、再びチームは戦闘モードに切り替わった。中村は「ルヴァン杯の後、自分たちで挽回できるチャンスがリーグであると。今季は前からのプレスで攻守で圧倒することに取り組んでいた。そういう姿を見せようと話して臨んだ」。

 スコアは1-0だが、シュート数は25本対1本。多彩な攻撃で相手を圧倒し続けた。得点するまで時間がかかったが、じれずに我慢強く戦い、貴重な勝ち点3を手にした。中村は「自分が最初のチャンスで決めていれば…」と前半15分の好機を逃した悔しさをにじませながらも「今までのフロンターレだったら、焦ってカウンターやセットプレーで逆に失点して負けるチームだったけど、今季は厳しい戦いをものにしてきた」と手ごたえを口にし「残り試合、勝ち点3を積み重ねるしかない」と連勝締めを見据えた。