主砲が決めた! 北海道コンサドーレ札幌FWジェイ(35)が前半11分、同39分と2得点を挙げ、J1残留に導いた。

 4日の練習中に、てんかんの発作で意識を失い緊急搬送されたが、この日は強力な決定力を示し、90分フル出場。クラブの目標達成に貢献した。今季7月に途中加入し12試合8ゴールと量産。歴代札幌ストライカーの中でも屈指の得点源が、「降格候補」とされていたチームの攻撃力を飛躍的に進化させた。

 跳んだ。0-0の前半11分、MF石川の左クロスがゴール前に入ると、ファーサイドから190センチ、89キロのジェイが突っ込んだ。「(石川)直樹のボールが素晴らしかった」。182センチ、72キロの清水DF松原をはねとばす豪快なヘッドで先制点を奪うと同39分、足で魅せた。MFチャナティップ、兵藤、DF福森とつなぎ最後はジェイの前に。相手DFに挟まれ倒れ込みながら、左足で軽く蹴り上げ、DFの足の間を抜く技ありシュートで突き放した。

 感謝した。「僕は決めるのが仕事。でも1人では決められない。みんなには僕にパスを出してくれと伝え、みんなが僕にボールを集めてくれたおかげ」。試合後はスタンドに集まった約2000人の大サポーターの前でダンスを踊り「札幌は、いつも一番遠いところから応援に来てくれる。その前で結果を出せてうれしい」と笑顔で振り返った。

 理解があった。6月、ジェイ獲得に動く際、野々村社長は、友人の磐田名波監督に性格や特長について細かく取材した。「日本人のグループに入るのは大変だと聞いていたが、周りが理解すればなじめると思った」と同社長。強烈な自己主張は、日本人とは相いれないものがあったが、社長直々、何度も食事に誘い、ときには説教。日本人の考えを丁寧に伝えることで、信頼関係が築かれていった。

 前回残留した01年はJ1得点王のウィルがいた。今年はジェイ。強力な攻撃の核が残留のカギとなった。16年ぶり目標達成もジェイは「残り2つも全部勝って、札幌がどれだけ上にいけるか。ここからが大事だ」と満足はしていない。残留は過去の話。視線はもう、次のステージへと向けられている。【永野高輔】