新体制でチーム再建を図る。アルビレックス新潟は来季J2降格が決まったヴァンフォーレ甲府戦から一夜明けた19日、神田勝夫強化部長(51)の退任と、後任としてU-20日本代表コーチを務めた木村康彦氏(50)の同部長内定を明らかにした。また辞意を表明していた呂比須ワグナー監督(48)も契約満了による今季限りでの退任を発表。同監督は最終戦のセレッソ大阪戦(12月2日)まで残り2試合指揮を執る。クラブは1年でのJ1復帰に向け、強化体制の再構築に着手した。

 来季のJ1復帰に向け、新潟が強化体制の刷新に動いた。04年から強化部長を務めた神田氏が退任し、新しい強化部長に木村氏が就任する。すでに木村氏は1日付で新潟の強化担当に就任しており、12月の取締役会を経て正式就任となる。

 木村氏はJ2降格から一夜明けたこの日、クラブハウスに現れた。すでに10月中から新潟の練習を視察している。降格こそ決まったが、チームはここ4試合で3勝1分け。木村氏は無敗が始まったG大阪戦から新潟の試合を見てきた。「アグレッシブな戦いをしている。新潟の良さが出ている」と長所を把握した。J1復帰を目指す来季を見据え、「苦しい状況の中で戦った経験は必ず生きる」と手応えを話した。

 最初の仕事は新監督の人選だ。すでに候補はピックアップ済み。「Jリーグの指導経験、指導力、人間性、そしてアルビレックスに合っているか」と必要要素を挙げる。目的は「1年でJ1に復帰することと、戻ってから安定して戦えるチームづくり」だ。J1で戦い続ける土台構築に着手する。監督の人選を終えた後は、選手個々との話し合いを予定する。

 今年はU-20日本代表のコーチを務めるなど、日本協会内で指導畑を歩んできた。チーム編成は初仕事だが、「クラブからの要請に断る理由はなかった」。新潟出身。「アルビレックス」は身近なクラブだった。思い入れは強い。

 自身が基盤にしているのも、攻守にアグレッシブな新潟伝統のスタイル。「最後まで走り切る、あきらめない。そういった志向の人を」と新監督のイメージを描く。「サッカーへの情熱を持って、誠心誠意、向き合う」。新潟再生の要として、手腕を発揮する。【中島正好】

 ◆木村康彦(きむら・やすひこ)1967年(昭42)4月3日生まれ、新潟市出身。新潟高から筑波大に進学。同大サッカー部では元日本代表の中山雅史氏(50)、井原正巳氏(50)と同期。卒業後、ケルンスポーツ大(ドイツ)に留学し、04年に卒業。日本協会ではナショナルトレセン北信越担当、U-13、15、17日本代表のコーチなどを歴任。08年にS級ライセンスを取得。今季はU-20日本代表コーチを務めた。