大学でも得点王と日本一をゲットだ。全日本大学サッカー選手権が明日13日、東京・上柚木公園陸上競技場ほかで開幕する。新ひだか町静内出身のストライカー、仙台大(東北地域第1代表)のFW鳴海彰人(1年)は、昨年度全国高校選手権で得点王に輝き青森山田の初優勝に貢献した。13日の1回戦は環太平洋大(中国地域第1代表)と対戦。大学でも得点王と、17年連続34度目出場のチームを初優勝に導く。

 キングの決意だ。凍えるような寒さの中で全体練習を終え、鳴海は熱い思いを口にした。「闘志あふれるプレーができている。自分は得点しかない。5点取って、得点王になりたい」。実績は十分だ。青森山田3年だった昨年度、7得点の全国高校総体に続き、高校選手権でも6得点を記録し得点王になった。例年、同校の選手は仙台大にも進むが、今年の1年は選手権とU-18プレミアリーグチャンピオンシップを制した黄金世代。吉井秀邦監督(44)から「今年の1年生は全国優勝しているし得点王もいる。楽しみ」と期待を寄せられている。

 武器は、当たり負けしない体の強さとスピードだ。仙台大はリスクを恐れずにロングボールも放る。自らの長所とチームスタイルは合致する。セカンドボールを拾うには欠かせない存在になった。だが鳴海は「決定力が足りない。大学で通用しないのは体負けする部分もある」とこれまでを振り返る。大学では初の全国大会となった9月の総理大臣杯。1回戦で全国デビュー弾を決めたものの、2回戦の阪南大(大阪)戦では接触プレーで右肩を痛め、延長戦で途中交代した。

 その後、チームは関西の名門校に惜敗。自身は脱臼で全治1カ月と診断された。離脱を余儀なくされ、東北大学リーグ戦は4得点。得点ランキング8位だった。「どんな状態で当たっても勝てるように」と気持ちを新たにした。「仙台大の兄」と慕い、ともに2トップを形成するFW宮沢弘(4年)との1日約120本のシュート練習で、決定力の向上を目指している。

 東北では8年間無敗のチームは、昨年同大会で2年ぶりに全国で勝利した。最高成績は89年と97年大会の4強。「仙台大はまずは1回戦。1戦1戦勝っていく」。鳴海は大学日本一へ一戦必勝を貫く。【秋吉裕介】

 ◆鳴海彰人(なるみ・あきと)1998年(平10)4月19日、新ひだか町静内生まれ。小学生の時に静内山手FCでサッカーを始める。静内中から青森山田に進学し、3年時の昨年度全国高校選手権初優勝に貢献した。昨夏の全国高校総体7得点、全国高校選手権6得点で大会得点王。同一年度の両大会キングは08年度の鹿児島城西FW大迫勇也(ケルン)以来。家族は両親、兄2人、姉と弟。175センチ、75キロ。