ベガルタ仙台のMF三田啓貴(27)がヴィッセル神戸に電撃移籍することが14日、明らかになった。今オフは古巣のFC東京からも獲得オファーを受けており、その動向が注目されていたが、神戸への移籍が決定的となった。押しも押されもせぬ中心選手として、今季はピッチ上でチームをけん引してきた三田の流出は、来季のチーム編成にも大きな影響を与えそうだ。

 ベガルタ新時代の「顔」といえるニューリーダーが、チームを去ることになった。三田をめぐっては、古巣の東京と神戸が水面下で激しい争奪戦を繰り返していた。

 東京は、今季限りで引退しチームのレジェンド的存在だったMF石川直宏(36)の背番号18を用意するなど、誠意のある条件提示をしていたという。対して神戸は、地元出身の浦和MF柏木陽介(29)に破格のオファーを提示し獲得に動いたが、移籍が実現しなかった経緯がある。神戸としては、チームの大看板FWポドルスキ(32)に効果的なパスが供給できる、ワールドクラスの力を最大限に引き出せる中盤のパサー補強は急務であり、MF三田に白羽の矢が立った形だ。

 仙台2年目となった三田は今季、東京から完全移籍となり33試合に先発出場し、5ゴール3アシストと活躍。もはや、チームに欠かせない中心選手にまで成長している。シュートレンジの広さはJリーグ屈指でペナルティーエリア(PA)外からミドルシュートを豪快にたたき込む。今季5ゴールはキャリアハイで、PA外からのゴールに限れば、今季リーグトップに並ぶ3ゴールを誇る。シーズン途中に一般女性と結婚した三田は現在、ヨーロッパに新婚旅行中で、帰国後、正式に移籍が決定する流れだ。

 Jリーグで公表している各クラブの予算規模データで、神戸は浦和に続く2位の約20億円だが、仙台はリーグ最下位レベル。三田は仙台と複数年契約を結んでおり、移籍金の他に違約金もチームに入るが、大きな柱が抜けることで、今後のチーム編成が大きなダメージを受けたことは、間違いない。