蹴りたいやつ出てこい! 今季ベガルタ仙台のプレースキッカー候補に、5人の男たちが名乗りを上げた。チームは21日、沖縄県糸満市の西崎陸上競技場で初となるセットプレーの練習を行った。昨季の主力キッカーMF三田啓貴(27)が神戸へ移籍し、現在は白紙の状況。新たな候補としてMF永戸勝也(23)、MF梁勇基(36)、MF庄司悦大(28)、MF野津田岳人(23)、MF茂木駿佑(21)が名乗りを上げ、キックの質と精度の高さを競い合った。

 忘れかけていた感触を確かめるように、永戸はコーナーから1球1球丁寧に左足で蹴り上げた。最後はフリーキックでゴールネットを揺らすと、居残り練習を締めくくった。「最後はいいイメージで終わることができました。プレースキックは昨年も何度か蹴っているし監督からも『準備はしておけ』と言われている。中の選手とうまく呼吸を合わせていいタイミングで蹴りこみたい。まずは試合に出られるようにポジションを奪うことが先ですが」。ルーキーで開幕から活躍した昨季は、7月に右足骨折、靱帯(じんたい)損傷の重傷を負いシーズンを終えた。再起にかける思いは、人一倍強い。

 新加入の庄司も、左右で完成度の高いキックを披露した。「悪くはなかったです。ずっと蹴ってきたので」。町田、山口、岐阜では10番を背負い、チームの中心で君臨。J1の舞台で、成り上がってみせる。

 仙台不動の10番・梁も上出来だった。鋭いドライブのかかったCKを何本も披露。「まだまだこれからです」と話したが、GKから遠ざかる弧を描く精度の高い右足キックを見せた。

 練習を終えた渡辺晋監督(44)は「キッカーに関しては何人かには準備しておけと伝えてあるが、今日は何も言わなかった。誰が蹴るとか伝えてない状態で、『オレが蹴る』というやつが出てくれば可能性は高まる。裏では期待してます」と笑みを浮かべたが、右足に違和感のあるMF野津田までが左足キックを披露すると、慌てて止めた。

 居残り練習では茂木も参入して猛アピール。セットプレーの練習では守備側に回りキックでアピールできなかった分、最後まで残って何度も右足を振り抜いた。今日22日、沖縄海邦銀行(九州リーグ6位)と今キャンプ初の練習試合を行う。本番のセットプレーで誰が得点に絡むのか? 注目が集まる。【下田雄一】