北海道コンサドーレ札幌のMF宮沢裕樹(28)が“今季初ゴール”を挙げた。チームは18日、熊本県内でJFL宮崎と非公開の練習試合(45分×2)を行い、前半9分に宮沢が決めた先制ゴールなどで6-0と快勝した。今季11シーズン目を迎える生え抜きの背番号10は、アウェーに乗り込む24日広島との今季開幕戦に弾みをつけた。

 開幕前、最後の対外試合で、ボランチの宮沢が勢いをつけた。前半9分。自らペナルティーエリア手前までボールを持ち込み、右サイドへ展開。そのままゴール前まで走り込むと、フリーで受けたグラウンダーの右クロスを左足で流し込んだ。「(パス交換で相手を崩す)やってきた形を出せたので良かった」。今季実戦初得点が、先制ゴール。チームメートとハイタッチを交わし、笑みを浮かべた。

 意識改革の真っ最中だ。ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)の「攻撃的サッカー」に1カ月、どっぷり漬かってきた。プロ11年目。昨季までFW、トップ下、ボランチとさまざまなポジションを経験したが、チームのベースにあったのは「堅守」だった。「体に染みついている。抜け切るのは簡単じゃない」。前へ、前へのサッカーに「これまでやったことない」と難しさを感じつつ「もっと理解したい」と、少しずつ順応してきた。

 その成果が“今季初ゴール”だった。昨季2得点はともに、前線で味方がヘディングで競ったこぼれた球を押し込んだもの。この日のように、パスの連係で相手を崩したゴールは「自分には今までなかった」。J1残留からJ1定着へ、チームを1段階、引き上げるためにペトロビッチ監督を招へいした野々村芳和社長(45)の狙いは浸透しつつある。

 もちろん、まだまだ課題はある。全体が意図をもって連動してこそ実るパフォーマンスだけに、つなぎの部分でミスが出たことについては「J1の相手だったらやられている」と反省しきり。開幕まで残された時間は多くないが、ギリギリまで修正していくしかない。「監督のサッカーを全部、理解、体現して結果を出すのは難しい。だけどチャレンジしたい」。その先に、昨季と違う札幌が待っている。【西塚祐司】