約9カ月ぶりに日本代表に復帰したFC東京DF森重真人(30)が、湘南ベルマーレを完封した。最終ラインで落ち着いて指示を出して湘南攻撃陣を封じると、攻撃でも左CKから後半14分、同37分と打点の高いヘディングシュートを思い切り放った。シュート数は両軍2位タイの2本と、攻めでも存在感を見せ「(代表で)ポジションを奪い返したい」と強い意欲を見せた。

 チームは14日のYBCルヴァンカップ・J2アルビレックス新潟戦に1-0で勝ち、今季公式戦5戦目にして初勝利を挙げた一方、リーグ戦は1分け2敗と不振が続いていた。「ここ数試合、あまり守備がうまくいっていないと感じていた。より積極的に前からいった方が、キャンプからうまくいっていた。今日はみんなで、そうしようと入った」と湘南戦では守り方を変えるよう促した。

 その言葉通り、チームは後方から前線まで全体で前に押し上げ、闘志をむき出しにボールを追った。「DFラインも、今まではFWが下がって後ろがコンパクト…ということが多く、なかなかそれだとうまくいかないなと感じていた。しっかり後ろが押し上げ、前に合わせた方が、今日やってみてうまくいった。ここ数試合、うまくいかなかったことを、みんなで考えて今日、しっかり出来た。高い位置で奪って、良い形がたくさん作れていた」と手応えを口にした。

 17年7月2日のセレッソ大阪戦で負傷し、左腓骨(ひこつ)筋腱(けん)脱臼で全治約4カ月の重傷を負い長期間、戦線を離脱し、自身の体調にも不安があった。「最初の数試合は、苦労するだろうなと自分でも思っていたので、無理をせずと言うか…自分の体と相談しながらというところがあった」。一方で「自分の中に火を付ける作業というのも、試合から離れていた分、難しかったなぁと最初の3試合は思っていたので、今日はそういう部分も含めてうまく入れたかなと思う。思い切って、ある程度、出来た」と精神面の調整という課題も、湘南戦ではクリアした。

 自身が出場した味スタでの試合の勝利は、1-0で勝った17年4月30日のサンフレッチェ広島戦以来で「1年弱ぶりの味スタでの勝利なので、すごいうれしかったですね」と笑みを浮かべた。

 報道陣からは、復帰した代表についても話が及んだ。森重は「しっかりやるべきことをやって…そんなに急激には、と思っていないので、1歩1歩いきたい。今までもしっかり、1歩1歩ここまでやってきたので。これからもアピールしたいですし、ポジションを奪い返したいですし、そういう気持ちでいきたいなと思います」と、静かな口調ながら、固い決意を口にした。【村上幸将】