東京ヴェルディとアビスパ福岡は、降った雪が残る中、互いに攻め合い、1-1で引き分けた。東京Vが後半24分、途中出場したスペイン人FWカルロス・マルティネス(31)の今季初ゴールで均衡を破ったが、福岡は同43分、途中出場のMFエウレーの(23)の放ったシュートが、東京VのGK上福元直人(28)のキャッチミスを誘い、そのままゴールインし、土壇場で引き分けに持ち込んだ。

 前半は、福岡が主導権を握った。長崎・国見高を卒業し、05年の入団から一筋のMF城後寿と、MF鈴木惇の中盤を軸に、中央から両サイドへと丁寧にパスを回し、新加入のFW森本貴幸とドゥドゥにつなげる攻撃で東京Vを押し込んだ。開始1分に城後がドリブルからシュート、同16分にはMF石津大介が左クロスをヘッドで合わせたが、いずれもゴールを割ることが出来なかった。同45分にも、城後が決定的なシュートを放つが、枠を外し、城後は両手でピッチをたたいて悔しがった。東京Vも前半6分、右CKをFW林陵平が頭で合わせたが、枠を外した。

 両チームには17年からの因縁があった。同10月28日に同じ味の素スタジアムで行われた第39節で対戦。前節まで自動昇格圏内の2位だった福岡は5位の東京Vと0-0で引き分けた一方、3位だったV・ファーレン長崎がロアッソ熊本に2-0で勝ったため入れ替わりで3位に転落し、その時点で、同日、試合がなかった首位湘南ベルマーレが、戦わずして昇格を決めた。福岡はその後、4位にまで順位を落としJ1昇格プレーオフに回った。11月26日に行われたJ1昇格プレーオフ準決勝は、逆に福岡が東京Vに1-0で完封勝ちし、昇格の芽を摘んだが、12月3日の決勝では、3位の名古屋グランパスに0-0で引き分け、J1昇格を逃した。

 後半も、序盤は福岡が同11分に城後が決定的なシュートを放つなど押し込んだが、東京Vは同16分にマルティネスを投入してからボールを保持し、主導権を奪い返した。そして同24分、途中出場のMF林昇吾のシュートがポストに当たったこぼれ球をDFがクリアミスしたのを見逃さず、マルティネスがボレーで決めた。そのまま、東京Vが押し切るかに見えたが、同43分、福岡MFエウレーがペナルティーエリア右側から放ったクロスが、GK上福元のキャッチミスを誘い、そのままゴールイン。上福元はピッチに突っ伏した。ロスタイムの4分間は、東京Vが勝ち越しをかけて攻め込んだが、ゴールを割ることは出来なかった。

 17年から続く、両チームの因縁は、この先も続いていく予感が漂う。