ほとんど、鹿島アントラーズの時間帯だった。

 先制を許した前半34分と、後半のロスタイムの決定的なピンチを除けば。放ったシュートもヴィッセル神戸の5本の倍の10本。後半は神戸の陣地だけでプレーしているようなものだった。

 ただ、結果は1-1の引き分け。頭で同点ゴールを挙げたFW鈴木優磨は「勝てなくて非常に残念です」と悔しさをにじませた。

 それでも、負の流れは断ち切れた-。そう思える内容だった。MF遠藤康が長期離脱から復帰し、ゲーム主将として試合を落ち着かせる。MF土居聖真とポジションを入れ替えて2列目に下がった鈴木が左サイドから推進力を見せる。

 そして、鈴木に代わって1・5列目に位置した土居が頻繁に顔を出す。大敗した前節の川崎フロンターレ戦後に大岩剛監督と2人で、自チームのフォーメーションについて話し合ったというDF内田篤人は後半、短時間で何度も果敢に攻め上がるスプリント力を見せた。そして同10分に右から送った低く鋭いクロスが相手GKの手をはじき、鈴木の前に転がった。

 「今日は勝てなかったけど、戦い方としてはだいぶ光が見えたんじゃないか」と話す内田は「今日は最初、雨が降っていたけど(雨降って地)固まる、的なね」。ホームで引き分けに終わったものの、手応えをつかめた試合。自身のパフォーマンスにしても上向きな姿を見せた背番号2は決して悲観せず、前向きにとらえていた。【今村健人】