2位FC東京が、今季8勝1分けの無敗サンフレッチェ広島に初めて土をつけた。FWディエゴ・オリヴェイラ(27)の2得点と元日本代表FW永井謙佑(29)のゴールで、首位との直接対決に3-1で快勝。勝ち点差を6に縮めて独走を阻み、2位をキープした。西野ジャパン逆転選出を狙う永井が2戦連発、MF高萩も1アシストに1起点。代表ラストチャンス組が首位をたたいた。

 永井が猛然とゴール前に走り込んだ。前半9分、ペナルティーエリアでボールを収めていたディエゴ・オリヴェイラを目がけ、50メートル走5秒8の快足を飛ばす。足元に折り返しをもらうと、勢いそのまま、右足で蹴り込んだ。「僕は打っただけ」と2トップの相棒をたたえたが、3季ぶりの2戦連発に表情は緩む。名古屋時代の14、15年、現代表の西野監督に重用されて公式戦通算30得点(73試合)を挙げた男が、15年9月以来の代表復帰へ目下絶好調だ。

 ハリルジャパンに呼ばれていたMF高萩も光った。前半3分、ディエゴにスルーパスを通して先制PKを誘発すると、2-0の後半6分に再びキラーパス。目の前で弾んだ難しい球を、ダイレクトでディエゴの足元に送って3点目をアシストした。開幕9戦で失点わずか2という堅守を誇った広島から、1試合だけで3点。視察した浜野GKコーチと寺門分析担当が、今日26日の会議で西野監督に報告しても不自然ではない。

 永井を復活させたのは長谷川監督だ。就任前から獲得を望み、得点ランク首位タイの7点と期待通りの活躍を見せるディエゴに、永井を組ませた。近年はサイド起用が多かった永井を最前線に配置転換。ゴールに迫る推進力がよみがえり、永井の先発前はわずか1勝だったチームが先発後は一気に5勝。「攻撃をけん引してくれている」と指揮官が評価する2トップが、この日も全3得点を挙げた。

 今季の総得点はリーグ最多タイの16点。広島に初黒星をつけ、2位の自軍と序盤で9差もあった勝ち点差を6に縮めた。「リーグ全体としても広島を止めたのは大きい」。そう話した高萩や永井がJを盛り上げれば、選考最終レースも目を離せなくなる。【木下淳】