ワールドカップ(W杯)による中断前、最後のリーグ戦。国内から最多3人が日本代表27人に入った鹿島アントラーズだが、MF三竿健斗はけが明け後で本調子でないことから、ベンチ入りメンバーから漏れた。また、DF西大伍も外れて右サイドバックの先発にはリーグ戦7試合ぶりに伊東幸敏が入った。

 一方のベガルタ仙台は、左ふくらはぎの肉離れで戦列を離れていたFW阿部拓馬がリーグ戦9試合ぶりの復帰を果たし、鹿島の日本代表DF昌子源、植田直通の両センターバックに相対した。

 晴天に恵まれながらも肌寒い風が吹く試合は、鹿島FW金崎夢生のキックオフシュートで幕を開け、そしていきなり動いた。前半2分、仙台MF関口訓充の右クロスにFW石原直樹がニアサイドに飛び込み、頭で合わせた。昨季、カシマスタジアムではシュート1本しか放てなかった仙台が、いきなり先制点を奪った。

 課題の立ち上がりでリーグ戦3試合ぶりに先制された鹿島も、直後に攻め上がったMF永木亮太がMF遠藤康とのワンツーから右足で強烈なシュートを放ったが、惜しくも右に外れた。

 効果的に両サイドを広く使う仙台。前半24分には、阿部が昌子をかわして左サイドから切り込み、鋭いクロスをMF奧埜博亮の頭に合わせたが、あまりに速すぎたか、ゴール前でのヘディングシュートは枠を外れて好機を逸した。同40分にはセカンドボールを拾い続けて、左サイドを起点に最後は中央から奧埜がミドルシュートを放ったが、鹿島GKクォン・スンテにはじかれた。

 リズムをつかめないまま折り返した鹿島の大岩剛監督は「情けない45分。迷ったり、びびったり、球際にいかないと試合には勝てない」とげきを飛ばし、後半開始から交代カードを2枚使ってシステムを変更した。DF犬飼智也を投入して3バックに布陣を変えて、仙台のサイド攻撃に対抗。また攻撃陣ではFW鈴木優磨を送り込んだ。

 これで、鹿島がリズムを取り戻したかに見えたが、仙台は後半20分に奧埜が鋭いミドルシュートを放つ。これはGKクォン・スンテの好セーブにしのがれたが、この流れで得た左CKからDF大岩一貴の頭を経てDF板倉滉が頭で押し込み、追加点を奪った。鹿島は大岩監督就任後、ホーム18試合目で初の複数失点となった。

 2点を追う鹿島は後半23分に伊東の右クロスに鈴木が飛び出したが、決定的な好機にミートできなかった。しかし、FW安部裕葵を投入すると後半40分に、FM遠藤の前線へのパスに鈴木が競り勝ち、安部が頭で落としたところを再び鈴木が走り込んで右足で押し込み、1点を返した。

 しかし、鹿島のパワープレーに耐えた仙台が5分のロスタイムも逃げ切って2試合ぶりの勝利を飾った。鹿島は今季初の3連勝はならなかった。