アルビレックス新潟の連勝はならなかった。0-0でモンテディオ山形と引き分け、順位は8位から9位に後退した。攻撃面ではチャンスをものにできなかったが、守備は第6節徳島戦(1-0で勝利)以来の無失点。後半、山形に攻め込まれて苦しんだが、しぶとく守って勝ち点1につなげた。

 ホーム戦での勝利が遠い。ただ90分間を手ぶらで終わらせるわけにはいかなかった。新潟はしぶとく守って、相手に勝ち点3を与えず、勝ち点1を確保した。

 GKアレックス・ムラーリャ(28)が壁になった。後半18分、山形のコーナーキックの流れでできたゴール前の混戦、飛び込んで押さえる。相手の際どいクロスも冷静にキャッチ。終了間際の5分間は自陣ゴール前でくぎ付けになる場面が増えた。そのたびに「集中!」と声をかけた。「長いシーズンを考えれば、引き分けは悪くはない。失点ゼロに抑えられたことはいい」。守護神の落ち着きが粘り強さの土台になった。

 無失点は今季ホーム初勝利だった徳島戦以来リーグ戦9試合ぶり。連続失点を8試合で止めた。センターバックのDF富沢清太郎(35)は「試合前、ゼロでいこう、その中で勝ち点3を取ろう、と話した」。全員が献身的に守り、1つの課題だった無失点はクリアした。鈴木政一監督(63)は「カバリングなどの選手の意識は高くなっている」と守備力アップを実感した。

 ただ、それが勝利という形にはならなかった。「もちろん一番いいのは勝ち点3。無失点を続けていかなければ」と富沢は言う。シュート6本と攻撃は勢いに乗り切れなかった。「ラストパスの精度など、攻撃の質を上げていかなければならない」(鈴木監督)。攻守の歯車がかみ合わない内容に、もどかしさが漂った。【斎藤慎一郎】