イニエスタがJを動かした! Jリーグが外国籍選手枠撤廃の検討に入ったことが22日、分かった。この日、東京・文京区のJFAハウスで実行委員会を開き、各クラブの代表者に伝えた。このほどヴィッセル神戸はバルセロナからアンドレス・イニエスタ(34)獲得に成功。すでに外国人選手枠が埋まっていることなどで、チームが不利益を受ける可能性がある。その改善策として来季からの外国人枠緩和&撤廃が実施される見込みとなった。

 実行委員会の冒頭、原博実副理事長が各クラブの代表者に伝達事項を述べた。いくつかある検討事項の中に、外国人枠撤廃案が報告された。「外国籍選手枠の撤廃を本格的に協議していきます。Jリーグで検討し、ある程度の答えが出た時点でみなさま(Jクラブの実行委員)にも報告し、意見を求めます。あまり時間はかけたくない」と話したという。実施時期などの明言はなかったが、Jリーグ関係者によると来季からスタートする可能性が高い。

 Jリーグは現在、外国人枠3人+アジア枠1人+アジア中心のリーグ提携枠1人の、1試合最大5人の外国籍選手がプレーできる。グローバル化やリーグ全体のレベルアップを図り、昨年末から外国人枠撤廃を検討してきたが、日本人選手の出場機会が減る可能性があることなどがネックとなり、協議のピッチは上がらず停滞していた。

 しかし、イニエスタの神戸加入で風向きが急に変わった。今夏、神戸はスペイン代表MFイニエスタ獲得に成功した。チーム力向上とともにホーム観客増員、さらに対戦チームの入場者数にも好影響を及ぼす可能性がある。サッカー少年少女が、まだ全盛期を過ぎていない世界的なスーパースターを生で見ることもできるなど、リーグ全体の活性化や日本サッカー界に及ぼす影響は大きい。

 しかし、すでに神戸は外国籍選手枠が埋まっていることから、現行制度では現所属の外国人選手の1人は試合に出られない。場合によっては、イニエスタに押し出された形で、主力級の外国籍選手を他のクラブに放出する可能性もある。大きな資金を投資し、リーグ全体の底上げに貢献しながら、不利益を受ける可能性があるのは事実だ。

 今夏からの急な制度変更は事実上難しい。今後は半年かけてシミュレーションし、協議を重ねて来季開幕からの実施になりそうだ。外国籍枠を完全撤廃するか、それとも1試合に出場できる外国人選手の数を、現行最大5人から増やすかを含めて検討していく。場合によっては近い将来の完全撤廃に向け、段階的な撤廃案でまとまる可能性もある。

 ◆プレミアリーグではこんな例も プレミアリーグは外国人枠を設けていないため、自国の選手を起用させるために「ホームグロウン制度」を設けている。22歳以上の選手の登録は最大で25人。その中で最低でも8人は21歳になるシーズンまでに3年間以上、イングランドまたはウェールズのクラブに所属する選手を入れなければならないという制度。09年に行われたボーンマス対アーセナルの試合で、イングランド出身選手が両チームに1人も入らず問題となり、イングランド代表も低迷していたことで、10-11年シーズンから導入された。