サガン鳥栖が獲得を目指していた元スペイン代表FWフェルナンドトレス(34)が10日、鳥栖入りを正式に表明した。この日、スペインにある自らのジムで会見を開いた。トレスは「僕の新しいクラブへの入団が決まり、本当に幸せだよ。サガン鳥栖、もうすぐ会おうね!」と喜びつつ、背番号9の鳥栖のユニホームを両手で掲げた。

 会見には鳥栖の竹原稔社長(57)が出席し「スペインの神の子を鳥栖に迎えることを光栄に思います」と笑みを浮かべた。この日の会見前に、オーストラリアAリーグのシドニーFCが、獲得レースからの撤退を発表していた。アジア・チャンピオンズリーグにも出場する、アジア・サッカー連盟内の強豪との獲得レースを制した同社長は、鳥栖について「本当にハードワークし、チャレンジし続け、アジアの小さなチームから世界を目指しています。トレス選手の加入で、飛躍的な風を吹かせたい」と紹介し、満面の笑みでトーレスの獲得を喜んだ。

 トレスは4月9日にスペイン1部Aマドリードからの退団を発表した。移籍先については、スペインの地元紙がスペインリーグ終了後の5月下旬に鳥栖入りが決定的と報じた一方で、米MLSのシカゴ・ファイアー、中国スーパーリーグ(1部)北京人和が獲得に動いているとも報じた。その中、同30日にJリーグ公式サイトが、鳥栖がトレスを獲得したとする予定原稿をアップし、すぐに削除する“フライング”でインターネット上で炎上する騒ぎとなった。

 竹原社長は1日の練習試合前に、本拠ベアスタのクラブ事務所前で取材に対応した中で、トレス側とは連絡も取れず「危機的状況」に陥っているとした上で「信用をなくしたので(契約成立は)もうないでしょう」と説明。Jリーグ公式サイトの“フライング”で、トレス側が鳥栖に不信感を抱いたと説明していた。

 竹原社長は、そんな一連の騒動に引っかけた「誤報じゃないよ! ほんトーレス!」、「来てくれて、ありがトーレス!」と書かれたタオルマフラーを、トレスと一緒に掲げた。そして「スペインで成功した彼(トレスの鳥栖入り)は、日本のファンが楽しめる。より良いサッカーに近づく道を示したい」と日本サッカーのためになる獲得だと強調した。

 これでJ1ヴィッセル神戸に加入したスペイン代表MFアンドレス・イニエスタに続き、スペインリーグの世界的な大物選手がJリーグでプレーする道を選んだ。