大宮アルディージャの石井正忠監督(51)は、大分トリニータ戦に完封勝利後の会見で「今日から20周年ユニホームを着て戦う。どんな形でも勝つとゲームに入った」と、試合にかけた思いを明かした。

 大宮は、大分戦からのホーム戦6試合を「クラブ創立20周年記念シリーズ」と題し、選手はクラブ創立20周年記念ユニホームを着用し、戦うことが決まっていた。20周年記念ユニホームは、前身のNTT関東サッカー部から翌98年3月に大宮アルディージャと改称し、99年からJ2に参戦した際に採用された、オレンジとネイビーのチェック柄の初代ユニホームをモチーフに作られた。

 石井監督は、順大卒業後の89年にNTT関東に入部し、91年途中に鹿島アントラーズの前身・住友金属蹴球団に移籍し、鹿島の創設メンバーの一員となった。NTT関東から大宮に改称する際は在籍していなかったが、NTT関東OBとして、当時からのチームカラーであるオレンジのユニホームへの思いは強く、負けられないという決意は強かったようだ。

 試合は、開始3分にMFマテウスがPKを獲得し、同4分にFW大前元紀(28)が決めて先制し、幸先のいいスタートを切った。石井監督は「1点を守りきる形になり、最後は押し込まれましたけど守りきり、大きな勝ち点3となった。先制され、追いつこうとすると、かなりのパワーを使う。避けたいので立ち上がりの15分は、しっかり入ったのが良かった」と振り返った。

 一方で、「大分さんがビルドアップから幅を使うのが特徴で、その対応が後半、できない時間があった」と振り返った。両ワイドを使った大分の攻めを、前半は河本裕之、山越康平の両センターバックを中心にサイドMF、ボランチが連携して挟み込む堅い守りで抑えたものの、疲れが見え始めた後半は押し込まれた。シュートも0に終わるなど、課題が残った。石井監督は「人とポジションを代えて耐え切った。こういう戦いもある。守り切れたのは成果。ボールを持って相手陣内に運ぶ…アタッキングサードに、なかなか持ち込めないのは課題」と反省した。

 序盤は2度の連敗などで一時は降格圏もちらつく19位と低迷したが、8戦無敗(6勝2分け)でJ1昇格プレーオフ圏内の暫定6位に浮上した。石井監督は「8戦無敗は意識しない。勝ち点3、最低でも1…と1試合、1試合積み重ねてきた。その積み重ねで、上位との差を詰めたい」と冷静に今後を見据えた。【村上幸将】