7年ぶりの優勝を目指す静岡ユース(U-18県選抜)が、金星を飾った。パラグアイU-18代表に1-1からPK戦で9-8。後半25分、左CKを頭で合わされ先制点を献上し、苦しい試合展開となったが、途中出場の2人がチームを救った。

 同ロスタイム、途中出場のFW松永颯太(清水桜が丘=2年)が、MF神田凛星(静岡学園=3年)のスルーパスを反転しながらトラップし、右足でゴール左下に流し込んだ。神戸MFイニエスタ(34)のJ初ゴールを思わせる華麗なプレーに「イメージ通りです」と胸を張った。アシストした神田は、DFラインの裏に抜け出した松永の右足にピタリとパスを送った。「顔を上げたら(松永が)いい位置にいました。DFから遠い方の足を狙って、パスを出しました」。

 神田はPK戦でも高い技術を披露した。ともに1人づつ外し、6-6の場面で8人目のキッカーとして登場。短い助走から右足で軽くボールをすくい上げた。逆側に飛んだGKをあざ笑うかのように、ゆっくりとゴール左下に吸い込まれた。意表を突くチップキックに、会場では大きなどよめきが起きた。試合後、涼しい顔で言った。「蹴る前、チームメートにチップキックをやっていいか聞きました。そしたら『やってこい』と言われたので」。チームを率いる渡辺勝己監督(清水東=42)は「よくあの場面でやれますよね」とファンタジスタの強心臓ぶりに関心しきりだった。

 17日はU-18日本代表と対する。「技術では負けていないと思います。勝てる部分を探して、最終的に(試合も)勝ちたいです」と神田。国内の世代トップ相手からも、金星をつかむつもりだ。【古地真隆】