途中出場の北海道コンサドーレ札幌MF白井康介(24)が、大仕事をやってのけた。FC東京戦(札幌ドーム)は2点を追う後半開始から投入され、23分に強烈なミドルシュートでプロ6年目でのJ1初ゴールを挙げた。今季J2愛媛から移籍。2点差をひっくり返す大逆転劇の立役者となった。

 無心で右足を振り抜いた。1点差に迫った後半23分。MF白井は、ペナルティーエリア手前で相手DFがトラップミスしたボールを見逃さなかった。すぐに奪うと、右へのドリブルで相手をかわす。思い切って放った強烈なミドルシュートは、ネットに突き刺さりJ1初ゴールとなった。両拳を強く握り、絶叫して仲間と抱き合った。「めっちゃうれしくてあまり覚えていない」。逆転勝利を呼び込む同点弾に笑みがあふれた。

 後半からMF荒野に代わりピッチに入った。持ち味であるスピードとドリブルを前面に、駆け回った。ハーフタイムではペトロビッチ監督から「球際を戦えていない」と指示があった。「当たり前のことを当たり前にやろうと思った」。指揮官の指摘を忠実にこなしたことが得点につながった。

 今季、J2愛媛から移籍した。頭を使うペトロビッチ監督の戦術もあり「入った頃は難しかった」と振り返る。ポジション争いでアピールが足りず、前半戦は3試合でベンチ入りしたが出場はなし。だが少しずつチームに慣れて戦術の理解も深まった。ワールドカップ中断期間が明けてからは出場機会が増え、5試合目でついに結果を残した。

 家族にささげるゴールだった。前日18日に長男凱斗くんが2回目の誕生日を迎えた。11月には第2子となる長女も誕生予定。スタンドの家族からの声援に応えた。「1つの結果が出て良かったけど、まだ何もやり遂げてない。次もまた頑張りたい」。勝利のため、家族のため、さらに得点を積み重ねていく。【西塚祐司】