横浜F・マリノスは前節磐田戦で左肘を骨折して離脱したFW伊藤翔(30)に代わって先発したFWウーゴ・ヴィエイラが2得点をあげる活躍で指揮官の期待に応えた。

3-1で迎えた後半32分に、仙台GKシュミット・ダニエルのクリアを体に当てて止めると、そのままシュミットとの競り合いを制して、冷静に無人のゴールに流し込んだ。41分にはゴール前でスルーパスを呼び込み、DF1人を交わして左足でダメ押しの5点目を決めた。

32分の得点の際には、ゴール裏のサポーターが掲げた背番号16の伊藤を意味する「WITH NO-16」の横断幕まで駆け寄り、両手で叩いた。伊藤とは同い年で普段からよく食事にも出かけるなど仲が良く、ウーゴは「翔とは同じポジションなのに来日した時から不思議と仲がいい。彼は調子のいい時にけがをしてしまって、自分も残念な気持ちになった。勝ち点と勝利を彼に届けることができた」と喜んだ。

伊藤からは試合前に「点を決めてくれよ」と言われていたといい、試合後の会話については「2人の中にとどめておきたい」とニヤリ。ゴール後のパフォーマンスについては、伊藤のユニフォームを掲げることも考えていたというが「そのパフォーマンスをするとイエローカードを受けてしまうということで、自分は累積が3枚(4枚で出場停止)でリーチだったのでやめました」と笑わせた。

この日は前線から積極的にボールを奪いにいくなど、最後までアグレッシブな姿勢をみせ、ポステコグルー監督も「ウーゴが前線で(守備の)スイッチを入れてくれた」とほめたたえた。伊藤とウーゴは開幕から先発の座を争っており、ウーゴはこの日の2得点でチームトップだった得点数を12に伸ばした。一方で、最近はルヴァン杯で得点ランクトップの8得点を挙げるなど調子を上げていた伊藤が先発することが多く、磐田戦までリーグ戦12試合連続出場中での負傷離脱だった。

ウーゴは「横浜は偉大なクラブで、素晴らしいサポーターとレベルの高い選手がいる。降格圏にいるようなチームではない。満足せずに3連勝を狙っていきたい」と力を込めた。頼もしい助っ人が、横浜を前線から引っ張っていく。