国際AマッチデーによりJ1が一時、中断した中、日本代表はパナマに3-0で快勝し、国際サッカー連盟(FIFA)ランク5位のウルグアイとの激しい撃ち合いも制して4-3で競り勝った。日本人監督として初めて世界トップ5に勝利した監督となった森保一監督(50)は、今回の代表23人中、12人をJリーグのクラブから招集した。

パナマ戦では、柏レイソルMF伊東純也(25)が、森保ジャパン初戦となった9月のコスタリカ戦に続き2戦連続ゴールを決め、15年3月のチュニジア戦から、約2年7カ月ぶりにピッチに立ったサガン鳥栖GK権田修一(29)も完封勝利に貢献した。一方、ウルグアイ戦では、ガンバ大阪GK東口順昭(32)が随所で好セーブを見せた一方で、G大阪の同僚DF三浦弦太(23)が後半12分、東口への不用意なバックパスをウルグアイFWエディソン・カバニ(31=パリ・サンジェルマン)に奪われ、一時は同点に追いつかれるゴールを許すなど課題を露呈した。

世界と戦った代表選手が、熱々のまま各クラブに戻り、再開するJ1も今節で残り5試合となった。首位の川崎フロンターレは前節、3位の鹿島アントラーズとスコアレスドローも、5戦無敗で勝ち点を57に伸ばしたが、2位サンフレッチェ広島はホームで柏に0-3で完敗。G大阪、柏と残留を争う下位チームに今季初の連敗を喫し、勝ち点で並んでいた川崎Fとの差が1開いた。台風の影響による中止などで、勝ち点31で16位の名古屋グランパスは2試合、同44で5位の北海道コンサドーレ札幌、同41で8位のセレッソ大阪、同35で13位の湘南ベルマーレ、同33で15位のジュビロ磐田は1試合消化が少ない。

今節はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内の3位争いと、残留争いのカギを握りそうな試合が複数あり注目だ。3位鹿島は勝ち点42の6位浦和レッズとアウェーで対戦する。鹿島は浦和にリーグ戦は3連勝中で、公式戦で見ても6連勝中。中断期間中に行われたYBCルヴァンカップ準決勝で横浜F・マリノスに敗れたものの、14日の第2戦ではDF昌子源(25)が、負傷した7月25日のセレッソ大阪戦以来約3カ月ぶりに復帰したのは好材料だが、日本代表MF三竿健斗の出場停止は痛い。一方、浦和は、オズワルド・オリベイラ監督が中断期間に古巣鹿島の分析を踏まえ、どうチームをマネジメントしたか、それに選手がどう答えたかが結果を左右しそうだ。

鹿島と勝ち点、得失点で並ぶも総得点で劣る4位FC東京はホームでC大阪と対戦する。東京は前節、アウェーの名古屋戦で9戦ぶりの勝利を挙げた。ただ、C大阪には直近のリーグ戦で3連敗を含む4戦未勝利と苦手にしている。その上、守備の柱のDFチャン・ヒョンスの出場停止は不安だ。一方のC大阪も3戦未勝利が続くだけに正念場だ。

リーグ戦ここ4試合で1勝3敗の札幌は、アウェーで湘南と対戦する。勝てば自動降格圏を免れ、クラブ史上初となる2年連続のJ1残留を決めることができる上、鹿島と東京の結果次第では3位に浮上できる可能性がある。2戦全敗した1998年(平10)以来、J1で20年ぶりの対戦となった4月のホーム戦は、後半ロスタイム1分のFW都倉賢の決勝弾で1-0で勝った。一方、湘南は柏を撃破してルヴァン杯で初の決勝進出を果たし、勢いに乗っているが、リーグ戦では残留争いの渦中にある。前節はアウェーでサガン鳥栖に1-0で勝ち3戦ぶりに白星を挙げるなど3戦無敗。札幌にも勝ち、早く残留争いを抜け出したいところだ。

その残留争いの行方を占うであろう1戦が、柏が勝ち点2差の名古屋をホームに迎え撃つ1戦だ。柏は前節、MF伊東の2ゴールで広島に勝ち5戦ぶりの勝利を挙げた。伊東はパナマ戦で右足首を痛めたものの、ウルグアイ戦にはベンチ入りした。柏を残留に導くゴールを決めたいところだ。過去の戦績を見ても、リーグ戦は2連勝を含む3勝1分けと柏に分がいい。一方、名古屋は柏より2試合、消化は少ないものの3連敗中と不振で、ここで勝ち点を落とすと厳しい。柏から6月に完全移籍したDF中谷進之介が、古巣相手にどれだけ体を張れるかがカギになりそうだ。

首位の川崎Fは、前節に連敗を5で止めたものの依然6戦未勝利の11位ヴィッセル神戸とホームで対戦する。神戸は直近のリーグ戦では2勝1分けと3戦無敗で、4月のアウェー戦も2-1で勝利した。一方、神戸は同戦で不在だったMFイニエスタの輝きに期待したいところだ。

広島はアウェーで9位の清水エスパルスと対戦する。直近のリーグ戦は2連勝中の上、アウェーでは4連勝の“お得意様”だけに、川崎F追撃の意味でも負けられない。日本代表帰りのMF青山敏弘(32)、DF佐々木翔(29)は、違いを見せて勝利に貢献したいところだ。一方、清水はFW北川航也(22)がパナマ戦に途中出場し、初キャップを記録した。北川には、代表に選ばれた“違い”をプレーで見せて欲しいところだ。