「神様」は変わらず鹿島アントラーズを見守る。ジーコ・テクニカルディレクター(TD、65)が来季も鹿島に残ることが10日、分かった。

今年8月から16年ぶりに復帰し、TDとして有意義な“助言”を行ってきた。契約は今年12月末までだが、クラブ幹部は「今年数カ月で劇的に変わった。来季ももちろん、そのつもり」と明かした。

関係者によると当初、古巣への復帰は来年からと考えられていた。だが、半年早まると、その存在は大きかった。1つはブラジル人選手の目の色の変わりよう。「働かないブラジル人には厳しい」とされるその目が光り、特にMFレオ・シルバは見違えるようなパフォーマンスを見せてきた。

「鹿島のユニホームを着ている誇り」を強調するなど原点を思い起こさせ、選手や監督、フロントへ「勝つために何をすべきか」を呼び起こす言葉掛けも、クラブ全体を引き締めた。

何より「対世界」への影響力が計り知れなかった。ACLでは試合後、対戦相手がわざわざジーコを探しに来たほど。特に水原(韓国)との準決勝第2戦で、これまでの日韓対決では緊張関係が生まれる試合後も、水原の選手や関係者らがジーコに握手を求め、和やかな雰囲気が生まれていた。アウェーでの鹿島への対応も「ジーコがいる」ことでおろそかにはできない空気が生まれるという。まさに“洗礼”はなくなった。

リーグ優勝の奪冠など、天皇杯やルヴァン杯、ACLの4つのタイトル獲得を目指すのが鹿島。来年も、ジーコが守り神になる。