全42試合と長丁場のJ2が、ついに最終節を迎えるが、いまだ優勝&自動昇格チームが決まっていない。

17年は湘南ベルマーレが、同10月28日の東京ヴェルディ-アビスパ福岡戦が0-0で引き分けた時点で3試合を残してJ1昇格圏の2位以内を確定。同29日には、ファジアーノ岡山と1-1で引き分けて優勝も決めた。最終節まで優勝&自動昇格チームが決定しなかったのは、16年11月20日に北海道コンサドーレ札幌が優勝、清水エスパルスが2位で自動昇格を決めた16年以来、2年ぶりの大混戦だ。

最終節で優勝の可能性があるのは

<1>松本山雅FC(勝ち点76、得失点差20)

<2>大分トリニータ(勝ち点75、得失点差25)

<3>FC町田ゼルビア(勝ち点75、得失点差18)

<4>横浜FC(勝ち点73、得失点差18)

最終節でJ1昇格プレーオフ進出圏6位に入る可能性があるのは

<5>東京ヴェルディ(勝ち点70、得失点差15)

<6>アビスパ福岡(勝ち点69、得失点差16)

<7>大宮アルディージャ(勝ち点68、得失点差16)

松本は、勝ち点55で11位の徳島ヴォルティスとホームで対戦する。勝てば勝ち点は79に伸び、無条件で優勝と昇格が決まる。13日に追加販売を行ったチケットも翌14日に完売。収容人数2万人のサンプロ アルウィンスタジアムが緑一色に染まり、圧倒的な完全ホームとなる可能性が大だ。徳島との過去の対戦成績は3勝4分け2敗だが、ホームでは2連勝中で2勝2分け。最後に負けたのは0-2で敗れた13年6月14日のアウェー戦と5年5カ月も負けたことがない。

ただ、松本はここ2年、ホームで悔し涙を流し続けてきた。16年は、終盤まで4カ月も2位をキープしながら、残り2節の段階で町田に敗れて3位に転落。最終節に横浜FCに勝ったものの、清水に得失点差で及ばずJ1昇格プレーオフに回ったが、ホームの初戦で岡山に屈して敗退した。17年も、勝てばJ1昇格プレーオフ進出が決まる7位で最終節をホームで戦ったが、京都サンガに敗れプレーオフすら逃した。引き分け以下の場合、大分と町田の結果次第で、一気に自動昇格圏外に転落する可能性もあるが、3季連続でホームでサポーターを悲しませるわけにはいかない。最終節にホームで悔し涙を流す“トラウマ”を乗り越え、うれし涙に変えるのは今季しかない。

大分は、勝ち点55で12位のモンテディオ山形とアウェーで対戦する。勝った上で(1)松本が引き分け以下(2)町田が勝った場合は得失点差次第、もしくは引き分け以下、引き分けでも(1)松本が負け(2)町田が引き分け以下(3)横浜FCが勝った場合は得失点差次第、もしくは引き分け以下の条件で優勝が決まる。山形とは、J2では9勝5分け9敗と対戦成績は全くの五分だが、2戦連続引き分けを含む2分け2敗、4戦未勝利が続き、J2では14年5月31日のホーム戦以降、勝っていない。特にアウェーでは、3勝2分け6敗と分が悪い上、直近は3連敗中。アウェーで最後に勝ったのは02年10月19日までさかのぼらなければいけない。今季36試合に出場している山形の守備の要、DF栗山直樹が累積警告で出場停止だけに、J2全22チーム中、最多75得点を誇る攻撃力で攻め落としたいところだ。

FC町田ゼルビアが東京Vをホームに迎え撃つダービー“東京クラシック”は、J1ライセンスがないため自動昇格の権利のない町田が自動昇格圏の2位以内を決めた段階で、J1の降格チームが1チーム減る可能性があるだけに、最注目の1戦と言えるだろう。町田は勝った場合(1)松本が引き分け以下(2)大分が勝った場合は得失点差次第、もしくは引き分け以下、引き分けた場合でも(1)松本が負け(2)大分が負け(3)横浜FCが引き分け以下なら優勝が決まる。自動昇格圏の2位以内は、勝った場合は(1)松本が引き分け以下(2)大分が勝った場合は得失点差次第、もしくは引き分け以下の、いずれか1つを満たすか、引き分けの場合は(1)松本が負け(得失点差次第)(2)大分が負け(3)横浜FCが引き分け以下の条件のうち2つを満たすか、負けても(1)大分が負け(得失点差次第)(2)横浜FCが引き分け以下の条件を満たせば決まる。

一方、東京Vは引き分け以下の場合、福岡と大宮が勝てば得失点差、総得点などの絡みでJ1昇格プレーオフ圏を逃す可能性があるだけに負けられない。町田と東京Vは、過去のJ2での対戦成績は3勝1分け3敗と全くの五分だが、町田はホームで1勝2敗と負け越している。ただ今季はアウェーで4-1と大勝している。

横浜FCは、勝ち点59で8位のヴァンフォーレ甲府とアウェーで対戦する。横浜FCは優勝、自動昇格圏いずれの確保にも勝利が絶対条件だ。その上で、優勝するには(1)松本が負け(得失点差次第)(2)大分が引き分け以下(引き分けの場合は得失点差次第)(3)町田が引き分け以下の条件が必要だ。自動昇格圏の2位に滑り込むにも(1)松本が負け(得失点差と総得点次第)(2)大分が引き分け以下(引き分けの場合は得失点差次第)(3)町田が引き分け以下のうち、条件を2つ満たすことが必要だ。甲府には、J2で8勝7分け16敗と大きく負け越している上、アウェーでも1分け1敗と2戦未勝利が続く。得点ランク4位の17ゴールを挙げている、エースのFWイバに期待だ。

福岡は勝ち点41で19位のFC岐阜とアウェーで対戦する。直近の4連勝を含む10勝2分け、12戦負けなしの上、アウェーでも8勝1分けと負けたことがない“お得意様”だ。勝ち点1差の東京Vを上回るためにも、勝ち点3を死守したい。

大宮は勝ち点53で14位の岡山とアウェーで対戦する。東京Vとは2差、福岡とは勝ち点1差で、福岡が敗れた場合は、引き分けでも得失点差でJ1昇格プレーオフに滑り込む可能性があるが過去1勝2分けと負けがない岡山から勝ち点3を取りところだ。ただ、24ゴールで得点王のFW大前元紀に次ぐチーム2位の12得点を挙げ、スピードあふれるドリブルと強引な仕掛けで攻撃をけん引するMFマテウスが 出場停止なのは実に痛い。画教が懸念されるところだ。

優勝、昇格、プレーオフ出場権争いは、いずれも一寸先は闇と言っても過言ではない大混戦…17日に笑うのは、果たしてどのチームか?