東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(61)は、FC町田ゼルビアとの“東京クラシック”に引き分け6位に転落も、かろうじてJ1昇格プレーオフ圏を死守し、安堵(あんど)の表情を浮かべた。一方で、25日に行われるJ1昇格プレーオフ1回戦の相手が、J1年でのJ1復帰を目指す、5位の大宮アルディージャになったこと、大宮より順位が1つ下のため、アウェーNACK5スタジアムで戦わなければいけないことに「嫌なチーム」と警戒を強めた。

ロティーナ監督は試合について「すごく拮抗(きっこう)した。前半は両チーム、特徴を出してゴールを狙ったが決められなかった。後半は、よりサイドからチャンスを作った。特に左サイドからチャンスをつくっていたが、ゴールは右サイドから生まれた。DF面の働きも試合を通して良く、リスクを負って2点目を取りにいけると思ったら、失点した」と振り返った。

同点に追いつかれたことで「終盤はナーバスになった」とも語った。この日は、J2の全11会場が午後2時に一斉にキックオフした。東京Vは前節終了段階で勝ち点70の5位だったが、0-0で迎えた後半22分、同68で7位だった大宮アルディージャがファジアーノ岡山とのアウェー戦で先制。そのため、東京Vは6位に転落し、FC岐阜とのアウェー戦で0-0だった同69のアビスパ福岡の結果次第では、1昇格プレーオフ圏外に落ちる可能性もあった。

その中、後半31分にFW林陵平(32)が先制点を決めた。同37分に町田DF大谷尚輝(23)の同点弾を食ったが、大宮が岡山に1-0で勝った一方、福岡は岐阜と0-0で引き分けたため、引き分けでJ1昇格プレーオフ圏6位にに滑り込んだ。ロティーナ監督は「(試合中に)他会場の結果が入り、引き分けでもプレーオフに行けるのは分かった。ただ、他会場も1点が入れば順位が変わることになった。勝ちに行きながらもカウンターを食わないようにという、ナーバスな状況だった」と振り返った。

この日は、チームトップの13得点で得点ランク5位のFWドウグラス・ヴィエイラが、故障でベンチからも外れる苦しい台所事情だった。ロティーナ監督は「先週の試合後から問題があり、少なめに練習したが、ダメだということで招集しなかった」と、出場した11日の前節カマタマーレ讃岐戦で故障し、招集できなかったと明かした。その上で「幸運だったのは陵がいて、いいゴールを決めてくれた」と、先制弾を決めた林陵をたたえた。

J1昇格プレーオフの相手は、この日、順位を抜かれた大宮に決まった。試合会場が大宮のホームNACK5スタジアムになった上、東京Vは勝たなければ進出できない。17年も同じ状況でアウェーで福岡とプレーオフ準決勝を戦い、0-1で敗れた苦い思い出がある。

大宮には4月28日のアウェー戦で0-2で敗れたが、8月4日のホーム戦は2-1で勝ち、今季のリーグ戦は1勝1敗だ。ロティーナ監督は「大宮は嫌なチームです。2部(J1から降格してのJ2)に適応するのに苦しんでいたが、後半戦は力を出し始めた。彼らはホームでプレーできるし、引き分けでも上に進出できるアドバンテージがある」と、語った。

一方で「そのアドバンテージはプレッシャーにもなる。ホームで負けるのは大ダメージになるだろう。我々はアウェーで戦い、勝たなければいけないが、勝てば大成功になる。それがアドバンテージになる。その気持ちで臨みたい。日曜に向けて仁、レアンドロらケガ人が帰ってくるのを期待したい」と離脱中のFW泉沢仁、レアンドロの復帰を心待ちにした。【村上幸将】