カルロス・ゴーン容疑者(64)逮捕のショックから一夜明けた20日、日産自動車が筆頭株主の横浜マリノス元社員による資金流用問題が浮上した。横浜マリノス社長の黒沢良二氏が20日、都内のJFAハウスで会見し、明らかにした。Jリーグの村井満チェアマンは横浜マリノスをけん責処分とし、制裁金300万円を決定した。

黒沢氏によると、元社員は2012年3月~18年4月の7年間にわたり、「契約書に使う」と名目を偽り、会社から収入印紙計約3300万円を着服、換金し、私的に流用していた。社内調査に対し、元社員も着服を認めているといい、横浜マリノスは元社員について、6月11日付で懲戒解雇とした。

元社員は06年入社で18年1月に異動するまで経理担当だった。塚本秀徳常務は「長い間、同じ仕事をさせたのが、不正の誘因の1つだった」と話した。前日のゴーン容疑者逮捕でも、日産の西川(さいかわ)広人社長が、事件の背景として長期にわたって日産のトップであり続けたことの「弊害」とガバナンス不足に言及。グループ会社で、同様の体質が一因となった事案が相次いで浮上する事態となった。

元社員は毎月のように収入印紙を着服しては、金券ショップなどで現金化。「高額な店での飲食、デパートでのまとめ買い」(塚本氏)などの遊興費に使っていた。毎月のように契約書の収入印紙が必要になることは普通はないという。元社員が18年1月に別の部署に異動した後も、同様に収入印紙を取りにきていたため、不審に思った経理担当が上司に相談。発覚した。

今後の刑事告訴などの可能性については、9月18日付で元社員が全額弁済することで合意しており「(弁済が)履行されている限り、警察に相談するつもりはない」(塚本氏)としている。