浦和レッズMF宇賀神に迷いはなかった。前半13分。右CKからつないで1度ははね返されたボールが、ペナルティーエリア外の宇賀神の目の前に飛んできた。落下に合わせ、右足をダイレクトで一振。神懸かったボレーでゴールネットを揺らすと、両こぶしを強く握って駆けだした。「ゴールの形は出来すぎ。決勝の舞台で優勝を決めるゴールを決められて良かった」と、会心の決勝弾に声を弾ませた。

守備でも奮闘。後半は攻勢に出た仙台に10本ものシュートを放たれたが、無失点でしのぎきった。天皇杯6試合で5完封にも貢献。「守備陣としては内容は良くないながらも踏ん張れた」と、勝ちきったことに手応えを見いだした。

執念がスーパーゴールを生んだ。今季限りで浦和一筋17年のDF平川が現役引退。この決勝がともに戦うラストマッチだった。「同じポジションでずっとやってきてた。優勝して送り出したい気持ちは人一倍強く持っていた」。試合後には「しっかりカップ掲げてください」と言葉を交わした。“師匠”の花道を飾り「あの時間帯に点をとって勝ちきる姿を見せたことで、自分の後を任せてもいいなと思ってもらえたと思う」と喜びをかみしめた。【浜本卓也】