Jリーグの年間表彰式「2018Jリーグアウォーズ」が18日、横浜アリーナで行われ、最優秀選手には川崎フロンターレのMF家長昭博(32)が初めて選ばれた。川崎Fからは16年のMF中村憲剛、17年のFW小林悠に続き、3年連続MVPという史上初の快挙。同じ生年月日に同じ左利き、ガンバ大阪ジュニアユース時代の旧友、本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)からビデオメッセージも届いた。

家長は、村井チェアマンから名前が読み上げられた瞬間、ちょっと驚いた表情を見せ笑みをこぼした。32歳にして初受賞。「6得点7アシストと平々凡々の記録でもらうのは心苦しい」と謙遜した上で、「偉大なるチームメートのみんなに支えられてこの賞をとれました」と感謝の気持ちを口にした。

サプライズが用意されていた。G大阪ジュニアユース時代の仲間、本田からのビデオメッセージだった。「全然連絡してこないのでたまには連絡下さい。会いに来て下さい。昔話でもしましょう」と約2分にわたり祝福を受けると、家長は「僕よりもしゃべってましたね」と笑わせ、「中学3年間、いつも一緒にいて。生年月日も一緒で運命を感じる選手。本当に会いにいきたいと思います」。

家長は中学時代に天才と称され、高校2年でトップ昇格した。一方の本田は家長の陰に隠れユースへの昇格ならず、石川・星稜高を経由してプロの道へ。両者の立場はプロで逆転したが“遅咲きの天才”は32歳にして再び、本田に負けないスポットライトを浴びた。

今季は終盤のチームが最も苦しい時間帯に、持ち味の走力を生かし攻守でチームを引っ張った。MF中村も「苦しいときに突破口を切りひらくのはアキの左足。こんな頼もしい選手はいない」と一目置く。鬼木監督から「もっと得点に絡むプレーを」との要求に応え、昨季の「2得点3アシスト」から飛躍。ボールを握り倒して攻める川崎Fのスタイルの中心にいる。

川崎Fからは7人がベストイレブンを受賞した。38歳のMF中村の「うまくなりたい」貪欲な姿がお手本だ。家長は「川崎Fで、日本を代表する選手がいる中に挑戦したいと思って飛び込んできた」と移籍当時の思いを振り返り、「想像以上に大きな刺激をもらえて加入してよかった」と率直な思いを口にした。

大きな勲章を手にしたが「うれしいですけど自分が挑戦して成長していくことの方が価値が高い」。来季は3連覇とACLへの思いが強い。「アジアではまだまだ。来季はアジアでも川崎Fが強くて勝てるチームだと見せつけたい」と目標を掲げた。【岩田千代巳】