青森山田(青森)が流通経大柏(千葉)を3-1で破り、2年ぶり2度目の優勝を決めた。

前半32分にCKからJ1鹿島内定の流通経大柏DF関川に頭で決められ先制を許したが、40分にJ1札幌入りが内定しているMF檀崎が決めた。さらに後半18分、右サイドからFWバイロンの中央への折り返しをMF檀崎の右足でカーブをかけてゴール右隅へ突き刺して勝ち越しに成功した。同43分には途中出場したFW小松が追加点を奪い、勝利を決定づけた。

今季の青森山田は、昨夏の大逆転負けが強さへの糧となった。全国総体2回戦、昌平(埼玉)に前半14分までに2得点。そこからチームの弱みを露呈した。黒田剛監督(48)は現チームに関して「やんちゃだし、目立ちたがり屋が多い。でも強くなりたい、勝ちたいというパワーはすごくある。あとは勝負のレールにうまく乗せてあげられるかどうかだけ。そういう意味では16年に優勝したチームに似ている」と話してきた。3点目を奪いに前線の選手だけでなく、DF陣も前がかりになり「次はオレが決める」の気持ちが強まっていた。「少しさぼっても」と守備の厳しさも欠如。同ロスタイムに1点を失うと、後半3失点。チームは一気に自信を失いかけた。

青森に帰っても、バラバラな雰囲気が続いた。練習中の態度も気持ちが入らない。監督やコーチの求める練習内容に自分勝手な行動をする選手も目立った。黒田監督のカミナリが落ちた。目が覚めたかのように、直後のU-18プレミアリーグEASTで流通経大柏(千葉)相手に敵地で4-0快勝。勝つために大事なことを思い起こさせる黒田流再生術だった。

プレミアリーグEAST2位に終わり、最後のタイトルに向けても2度目荒療治に出た。主将交代。春先に変更したことは過去にもあるが、選手権直前は史上初。黒田監督は「ぶち壊しながら、再構築。ショック療法ですね」。直後に積雪の多い青森を離れ、静岡・御殿場で合宿。練習試合は1試合しか行わず、徹底的にボールを追わせた。走らせた。基本に立ち返らせた。大会に入ると試合にも飢えていた。草津東(滋賀)との初戦2回戦では6人で6得点し、6-0。3回戦でも大津(熊本)に3-0。準々決勝、準決勝も逆転勝ちと、試合をするたびに強さは増した。準決勝までに全4戦、11人で14得点。どこからでも奪える多種多彩な攻撃が、一体感の象徴だ。