青森山田が3-1で流通経大柏(千葉)を破り、平成最後の王者となった。札幌内定のMF檀崎竜孔(りく、3年)が前半40分と後半18分に2得点。3戦連続逆転勝ちで、2大会ぶり2度目となる頂点へ導いた。流通経大柏は2年連続の準優勝に終わり、11大会ぶり2度目の頂点には届かなかった。

   ◇   ◇   ◇

勝利のホイッスルを聞きながら、緑のピッチに顔をうずめた。檀崎は2度のガッツポーズ後、快晴の青空に向かって、3度拳を突き上げた。「中学から青森山田で6年間やりきって結果が出た。家族、仲間、スタッフ、みなさんへの感謝の思いが一番強い」と人目もはばからず泣いた。

3戦連続失点にも「必ずチャンスが来ると信じていました」と焦りはなかった。失点から8分後、FW佐々木の右グラウンダークロスにトップスピードで左足を合わせて同点。後半にはMFバイロンの右マイナスクロスも冷静に右足を振り切った。右ポストに当たってネットを揺らす勝ち越し弾。黒田監督から授かった「1本中1本」の言葉を胸に練習してきたシュートの精度。「雪の中でも、集中して勝負してきた成果が最後に出て、悔いなく終われました」と胸を張った。

1日だけ後悔もあった。今大会直前の12月上旬に規律面で仲間に迷惑をかけた。主将を降ろされ、自ら頭を丸刈りにした。「1週間くらい、気持ちの整理ができなかった。でもこのままじゃいけないと思えた」。仲間に頭を下げ、後輩たちの手本となるべく、あいさつから先頭に立った。「1人では乗り超えられなかったかも。決勝の2得点もみんなに支えられたゴールです」と、結果で恩返しした。

個人としては、中2、中3、高1に続く4度目の全国制覇となった。「まだまだですが、将来は日本代表で日の丸をつけてプレーできるよう成長したい」と話した。プレミアリーグEASTで8戦連続を含む16得点、今大会4得点。「竜孔(りく)」の名前の意味は、竜のように力強く上昇し、クジャクのように華麗な羽を広げる願いを込めたもの。スター候補生がJの舞台でも暴れまくる。【鎌田直秀】

◆檀崎竜孔(だんざき・りく)2000年(平12)5月31日、宮城・名取市生まれ。小1時で館腰SSSで競技を始め、青森山田中で全国大会2連覇に貢献。高校では攻撃的MFとして1年からレギュラー。1年時には高円宮杯U-18プレミアチャンピオンシップ優勝にも貢献。今季プレミアリーグEAST得点王。J1札幌では背番号17が決定。家族は両親。尊敬する人は父。利き足は右。50メートル6秒3。175センチ、65キロ。血液型O。