第97回全国高校サッカー選手権大会で2大会ぶり2度目の優勝を果たした青森山田が22日、青森市内での優勝パレードで、市民らから祝福を受けた。同中高全員参加での優勝報告会に始まり、青森市優勝セレモニーなど大忙しの1日。J2福岡内定のDF三国ケネディエブス(3年)は「開幕スタメン」が第1目標。昨年まで福岡に所属し、前日21日に20歳77日でアジア杯の日本代表最年少ゴールを記録した“先輩”DF冨安健洋(20=シントトロイデン)の存在も意識し、「冨安超え」も誓った。

192センチの三国は、目指す場所もビッグだった。最高気温氷点下の青森。時折、小雪が舞う中でも日の丸を背負う思いは熱かった。「冨安選手は20歳でA代表に選ばれているだけでなく、得点もとって素晴らしいと思う。自分も早く日本代表の舞台に立ちたいですし、冨安選手よりも早く得点もとりたい。そのためには、まずはアビスパで開幕スタメンをつかまないといけない」と決意した。

CKで冨安のヘッド弾をアシストしたのは青森山田の先輩MF柴崎岳(26=ヘタフェ)。現代表にはDF室屋成(24=東京)もいる。「先輩たちと一緒に代表でプレーしたい気持ちも強いです。ヘディングだけでなくロングフィードでもアピールしたい」。宮崎合宿中の福岡には、明日24日に合流する予定だ。

2年前のパレードは約100メートルだったが、今回は約300メートルに拡大された。沿道の市民からは「日本代表になってね~」の声も飛んだ。「いろいろな方に祝福していただいて本当にうれしい」。14日の決勝後、17日からは練習を再開。雪の中でミニゲームなども行って準備を進めている。

守備力はもちろんだが、攻撃力も大きな武器だ。青森山田中3年時には全国総体で得点王に輝くなど、本来は点取り屋。高1冬に「将来を見越して」DFに転向。選手権では尚志(福島)との準決勝で1点を挙げたのみだが、ロングスローなどのセットプレー時には、前線に上がって起点となる役割も担っていた。ナイジェリア人の父を持つ身体能力の高さも生かし、DFでもFWでもU-15から各年代別日本代表に選出され続けている。昨年10月のU-19アジア選手権(インドネシア)にも高体連所属から唯一メンバー入りした。

市民との優勝セレモニーでは女子小学生から「コンクール前でないとピアノの練習に気持ちが乗らないのですが、どうしたら良い?」と質問も受けた。「うまい人に負けたくないとか、一流のピアニストになりたいとか、将来の目標を設定することが良いと思います」と優しく的確に回答。自身もW杯や五輪出場への目標に突き進む。【鎌田直秀】