わくわくするクラブとは-。17年度はクラブ初のタイトル、ルヴァン杯と天皇杯を手にしたセレッソ大阪だが、さらなる躍進が期待された昨季は無冠に終わった。このオフは激震。尹晶煥前監督(45)からロティーナ新監督(61)に代わり、MF山口蛍(28=ヴィッセル神戸)、FW杉本健勇(26=浦和レッズ)ら、クラブの顔的存在だった主力が移籍し、戦力も大幅に入れ替わった。

まさに新たなスタートを切るクラブ。その難しいかじ取りを託されたのが森島寛晃新社長(46)だ。ワールドカップ(W杯)に2大会出場した元日本代表のスター選手。異色の新社長に今後のビジョンを聞いた。

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-1月14日の新体制発表会で「わくわくするクラブ」を掲げた。具体的には

森島社長 やはり一番は勝利。サポーター、選手がピッチの中で、喜び合えるような試合を増やしたい。そのために必要なのが、ひとつは雰囲気作り。自分にも経験あるが、スタジアムにお客さんがいっぱいの中でプレーするというのは、やはり気持ち的に違う。スタジアムを満員にしたい。

-そのためには

森島社長 一番は選手。選手をいかに輝かせるか。魅力あるクラブになれば、サポーターは増える。セレッソの試合が楽しみと思ってもらえるように。今までは、むずむずしてというか「しっかりしろよ」の激励も含めて、かわいがってもらった部分はあると思う。より応援してもらえるよう、つねに優勝争いをするチームになっていきたい。

-1シーズンに1タイトルは必ずとるクラブに

森島社長 もちろん、タイトルは目標。中でもACL(アジア・チャンピオンズリーグ)の位置付け。アジアで戦っていけるクラブに。

-昨季は諸事情も重なったが観客動員で苦戦。知名度抜群の新社長には、その部分の期待も大きいはず

森島社長 やはり現場が中心で、そこに出ていくようなことはないが、違う形で戦っていく。まず地元で応援してもらえるように。大阪市と堺市がホームタウンだが、今年に入って大阪市の各区役所をあいさつ回りしている。御堂筋沿いの銀行も回っている。その後は堺市も回る。地元(の方々)に、セレッソを応援してほしい。

-昨季はホームゲームの観客が35万人強。今季の目標は

森島社長 カップ戦の勝ち上がりなどで、試合数は変わってくるが、40万人が目標。今年は(金鳥スタが改修工事に入り)ホームはすべてヤンマー。1試合平均2万1000人でクリアできる。

-そのための仕掛けも

森島社長 今年はクラブ創設25周年。「25」をキーワードに、いろいろアイデアを集めている。25日の試合(今季は5月、FC東京戦)は、特別に何かをやるとか。みなさんの考えを聞いているところ。

-大阪ダービーで勝てていない(7戦連続勝ちなし)のも、サポーターのストレスになっている

森島社長 おっしゃる通り、結果が出ていない。その試合も大事だが、絶対に負けられない試合。この一戦には絶対勝つんだと、クラブとしても盛り上げていきたい(今季の大阪ダービーは5月にパナスタ、9月にヤンマーで予定)。

◆森島寛晃(もりしま・ひろあき)1972年(昭47)4月30日、広島市生まれ。東海大一(現東海大翔洋)から、91年にC大阪の前身ヤンマーに入社。以降、C大阪ひと筋。J1通算318試合94得点(J2通算42試合12点)。日本代表通算64試合12得点。98年フランス大会、02年日韓大会と2度のW杯に出場。08年に引退後はアンバサダー、強化担当、チーム統括部オペレーショングループ部長(強化部長)をへて、昨年12月に社長就任。