シンデレラボーイの躍進が止まらない。大分トリニータが北海道コンサドーレ札幌を2-1で下した。FW藤本憲明(29)が今季6点目を決め、リーグ単独最多に躍り出た。

日本代表の森保一監督(50)が視察する中、前半2分に先制点を奪い、チームを4位に浮上させる勝利に貢献した。世代別代表経験がなく、JFLからJ1まで上り詰めた苦労人のサクセスストーリーに、続きを期待させる1発となった。

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藤本の“持ってる”ぶりは、この日も発揮された。試合開始間もなくだった。右クロスをファーサイドのMF星がゴール前へ折り返した。「めちゃめちゃいいパスが来て、合わせるだけだった」と話す左足シュート。1分12秒で奪った今季6点目で、対戦した札幌MFアンデルソン・ロペスと並んでいた得点ランキングで、単独首位に立った。前半26分には、藤本に送られたパスをクリアしようとした相手のオウンゴールを誘い、勝利を決する2点目を引き出した。

視察した日本代表の森保監督は「6点取ってて、クロスの入り方、カウンターになった時の準備、相手が嫌がる動きだしができる選手だと思った」とうなずいた。「日本代表の経験がない選手、苦労して結果を出した選手には、そういうチャンスを与えたいと思う」とも言い、世代別代表の経験もない29歳が、日の丸を背負う可能性にも触れた。

そんな指揮官の期待をよそに、本人はマイペースを貫く。視察にも今後の代表入りにも、無関心の姿勢だ。「代表入ったことあったら意識するかもしれないけど、入ったことないので。入ったらラッキーって感じで」とおどけた。近大卒業後にプレーしたJFLから各カテゴリーを経て、今季J1へステップアップしたばかり。得点王も「目指したことない。1試合1点取ることの方が重要」。昇格チームのエースは、まだまだ高みへ羽ばたくはずだ。【保坂果那】