生え抜きのA代表が誕生した。コンサドーレ札幌FW菅大輝(20)が、南米選手権(6月、ブラジル)に臨む日本代表に初選出された。

25日G大阪戦(札幌ドーム)へ向け、札幌・宮の沢で練習を行った24日、吉報が届いた。札幌在籍選手のA代表入りは、吉原宏太、FW鈴木武蔵に続いて3人目だが、U-12からの下部組織育ちではクラブ史上初めて。南米勢から世界のレベルを肌で感じながら、20年東京五輪切符へのアピールを狙う。

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「日本代表・菅」が誕生した。「びっくりし過ぎて『ああ』みたいな」。知らせを聞いた瞬間、言葉にならないほどの驚きだった。東京五輪世代中心のメンバー構成とは言え、日の丸を背負うA代表として、世界に挑む。6月14日から始まる1次リーグを突破すれば、FWネイマールらのブラジル、MFメッシらのアルゼンチンと対戦する可能性もある。「世界のトップクラスの選手にどれだけ通用するのかやってみたい」と心待ちにした。

小樽市出身の道産子で、小、中、高と、札幌の下部組織で育った。3歳から始めたサッカーは、7年前に亡くなった父基博さんから受けた厳しい指導が、ベースとなっている。「毎日たくさん走らされて、スパルタだった」と懐かしむ。昨季は自己最多33試合に出場し、クラブのJ1史上最高4位に貢献。生え抜きで下部組織からA代表まで上り詰めたのも、札幌在籍の道産子選手が代表に選ばれたのも、初めての快挙となった。

1年後に迫る東京五輪の代表入りを、確かなものにする。昨季チームメートだった横浜MF三好ら、18人のU-22世代が名を連ねた。顔見知りが多く「安心」の一方、立場には危機感を持つ。「ここのメンバーに入れたのは、(東京五輪が)近くなったのかなと感じてるけど、現時点で(リーグ戦で)結果を出していないので、焦りはかなりある」。チームではFW登録も、今回はDFでの選出。「自分の持ち味の積極的な攻撃参加をやれたら。守備の面はどれだけできるか試される」と見据えた。

「ちょっとでも成長してチームに帰って来る」。地元北海道全体が、地球の裏側で戦う菅の姿を楽しみにしている。【保坂果那】

◆菅大輝(すが・だいき)1998年(平10)9月10日、小樽市生まれ。小樽高島小、小樽末広中、小樽水産高を経て飛鳥未来高に編入し卒業。札幌U-18所属だった16年4月から2種登録され、同年にJデビュー。17年からトップチーム昇格。J通算73試合2得点(J1・68試合2得点)。U-16日本代表から各世代を経験。左利き。特技はボウリングで最高247点。家族は母と兄。171センチ、69キロ。

◆主な北海道出身の日本代表 室蘭市出身のFW城は98年W杯フランス大会に出場。日本代表にとって前回出場した99年の南米選手権でもメンバー入りしている。国際Aマッチ35試合7得点。現役では、札幌市出身のJ2愛媛MF山瀬が、同13試合5得点。鹿島DF西(札幌市出身)は札幌U-15、18出身で、11年に初代表入り。今年3月のキリンチャレンジ杯で復帰し、通算2試合出場。名古屋DF千葉は釧路町出身で、13年東アジア杯で1試合出場。