J1湘南ベルマーレは17日、ホームBMWスタジアムで行われるサガン鳥栖戦前に平塚市内でサポーター向けの「クラブカンファレンス」を開催し、出席した真壁潔会長、水谷尚人社長が、曹貴裁監督による選手らへのパワハラ疑惑についてJリーグから調査を受けていることを謝罪した。

謝罪は同カンファレンスの冒頭15分間を使って行われ、真壁会長らが経緯について説明した。その後に行われた質問時間では、女性サポーターから同騒動についての質問が飛んだ。女性サポーターは曹貴裁監督のパワハラ疑惑について「あってはならないことだと思います」としつつ、活動自粛状態にある同監督について「みんな応援してるんですよ。J2に落ちたり、困ったときにずっと頑張ってくれたじゃないですか。それがコンプライアンス違反としてどうにもならないのであればしょうがないですが、今のところ、謝って済む問題だったら、本当に至らぬことでありましたがと、真壁さんと水谷さんが謝ってくださいよ」などと訴えた。

女性サポーターが質問を終えると、会場は大きな拍手に包まれた。これを受けた真壁会長は神妙な面持ちをみせ「私の説明がわかりにくかったと反省しておりますが、我々が守らないといけないものは何かというと、ルール、ルールなんですね」と切り出した。続けて「それが守られないと、謝れば済むことだったかもしれないけど、そうじゃなくなるんです。今のこのコンプライアンス案件もJリーグのルールで言うと、結果としてこういうことになってしまったのですが、コンプライアンス案件のテーブルに乗った段階で、我々には守秘義務と捜査しないといけない義務が生じるんです。それを漏らせば隠蔽(いんぺい)したということになる。ですから、今でもJリーグからは曹貴裁のパワハラの案件であると言われていません」と話した。

真壁会長は今後の捜査の進行についても口にし「捜査が終わった段階での判定はどうなるんですかと(Jリーグに)お聞きしても『調査をされている弁護士の判断で次のステップができるのでお答えできません』ということになります。これはJリーグクラブの一員としてリーグに参加している以上、このルールは守らないといけない。僕は曹と05年からの付き合いです。それでも我慢しなければいけない。なぜか。ルールを守らないといけない。この男がルールを犯したのかどうかをしっかり調査して、調べてもらわないと、もう僕らが手を出せる状況じゃないのです」と説明した。

真壁会長はクラブとしても外部有識者への相談などを行っていることも明らかにし、「Jリーグに(匿名の)通報をされたことは事実であり、それが恐らくあれだけいろんなことが紙面から伝わってくるということは、よく知っている人なんだという推察はできます。推察ができる中で、ある意味、監督を守るという意味も含めて、ピッチには来ないでほしいというお願いをしました」。最後にあらためてサポーターへの理解を求め「今日の状況に至って、みなさんにご心配をかけます。この案件をクラブの一員として受けて、いろいろ思うことはあります。それはまず我々のことが終わって、しっかりJリーグと共有、日本サッカー協会と共有して次に行きたいと思います。今日、皆さんの気持ちもおっしゃっていることもわかりますが、僕の気持ちの中でも本当にそうしたい、でもできることの精いっぱいがそれだけであり、今は選手が集中できる環境をつくることが僕らのやるべきことだと思います」と話した。

同カンファレンスは年3回定期的に行われているもので、今回の開催も曹監督のパワハラ疑惑が表面化する前に開催が決まっていた。同カンファレンスの冒頭に真壁会長、水谷社長それぞれから同騒動についての説明を約15分間行った。