Jリーグは21日、新型コロナウイルスの集団感染の影響で25日まで活動休止中のサガン鳥栖のコンディション面などを考慮し、29日開催予定のJ1第13節、湘南ベルマーレ対サガン鳥栖戦(午後7時開始、BMWス)を中止することを発表した。

鳥栖では14日までに金明輝(キム・ミョンヒ)監督(39)ら11人が新型コロナウイルスに感染するクラスター(感染者集団)が発生。13日にチーム活動の25日までの休止、アカデミー、スクール活動も当面休止とし、直近に予定されていたリーグ戦など計4試合の延期または中止も発表していた。

この日午後にはJリーグの原博実副理事長、藤村昇司新型コロナウイルス対策本部特命担当部長らが報道陣の取材に対応。26日に鳥栖のチーム練習が再開された場合、9月5日の鳥栖対横浜FC戦(午後6時45分開始、駅スタ)は予定通り開催するとした。また、鳥栖市内で疫学調査を行った厚生労働省のクラスター対策班から感染防止へ向けた提言を受けたこと、選手、スタッフらへの調査でガイドラインに記された項目について順守されていない部分が散見されたことも明かした。

クラスター対策班からは、それまでのPCR検査の結果などから8月1日に行ったリーグ戦の鳥栖対FC東京戦での都内への遠征でウイルスに感染した可能性が高いという指摘を受けたという。藤村氏は「(関東に)行ったタイミングを考えると、かなり長い潜伏委期間を経て発症している。ホテルの壁やエレベーターのボタンなどに触れ、ウイルスにたまたま触ってしまうこともあり、そこから体内で増殖して発症する可能性もある。管理不行き届きの結果起こったというより、ある種、防ぎようがないことが発端の可能性が高いという分析でありました」と話した。

一方で、同対策班からはマスクなしでのスタッフルームでの会話や、ビュッフェ形式の食堂でのトングの共有、試合の給水タイムでのマスクなしでの指示出しなど、鳥栖のチーム内で行われていた感染リスクのある行為への指摘もあった。鳥栖の全選手、スタッフへの調査では、グラウンドでのつば吐きなどについて「なかなか守れていないとおっしゃる選手が多かった」(藤村氏)という。同居家族以外との会食を行っていたと申告する選手、スタッフも一定数いたといい、藤村氏は「夜の接待を伴うところで濃厚接触した痕跡は今回はみられないという報告をいただきました」と話した。

Jリーグのガイドラインには試合の給水タイムでの指示の出し方等についての記載がなく、今後、内容の修正も行いながら改善をはかっていく。藤村氏は「(同対策班から)多岐にわたって再度注意した方がいい項目をご指摘いただいた。今回、頂いたもろもろのポイントは全クラブで共有し、より安全性の高いリーグ運営に進んでいきたい」と話した。