横浜FCが、リーグ最少失点を誇る名古屋に競り勝ち、連敗を3で止めた。

FWカズ(三浦知良、53)が今季初のベンチ入り。出番はなかったがベンチでチームを鼓舞し、精神的支柱の役割を果たした。グアムの自主トレなどカズの背中を見続けているFW瀬沼優司(30)が決勝弾を決め「カズさんのおかげ」と感謝した。

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カズのJ1最年長出場はお預けになったが、ベンチでの存在は大きかった。4位で堅守を誇る名古屋から3点を奪い連敗脱出。後半33分、瀬沼はカズから教わったFWの金言「心は熱く、プレーは冷静に」の言葉通り、こぼれ球を右足で冷静に振り抜き決勝ゴール。瀬沼は「絶対に決めてやるという気持ちはあったんですけど、シュートの瞬間は冷静に打てました」と笑みを浮かべた。

瀬沼はカズとグアムの自主トレーニング、交代浴などピッチ内外で過ごす時間が長く“弟”のような存在。ベンチ外の時間が長かったが、カズから日々の練習で「一緒に頑張ろう、出たら絶対に活躍するんだ」とポジティブな言葉をかけ続けてもらい前を向けた。瀬沼は「カズさんはネガティブな言葉を一言も発せず黙々と努力している。カズさんの背中を見ながら高いモチベーションを保っていたことが今日の結果に結びついた」と振り返った。

カズは試合後、奮闘した選手を出迎え、5歳年下の下平監督と抱き合った。指揮官が「出してあげられなくてすみません」と声をかけるとカズは「勝つことが大事」と話したという。下平監督は、ベンチで仲間を鼓舞し続けたカズに「ポジティブな掛け声、雰囲気がこういった苦しいゲームを勝利に導いた要因」と感謝し「僕自身も出場してほしかった。次の機会にと思っています」とリーグ戦での起用プランを示唆していた。【岩田千代巳】