J1ベガルタ仙台が、来季監督人事を手倉森誠氏(53)に一本化したことが21日、分かった。関係者によると、J2長崎の監督を今季限りで退任する元指揮官に対し、クラブが正式に就任要請する方針を固めた。前日20日の最終節が終わるのを待って、この日までに接触したとみられる。今後、条件面などの交渉が滞りなく進展すれば、サインをへて発表される流れになりそうだ。

クラブは18日、複数年契約だった木山隆之監督(48)を“解任”。後任に仙台市出身の浦和大槻毅監督(48)を推す声もあったが、同日、クラブにとって想定外だったという手倉森氏の長崎退団も発表された。今期は新型コロナ禍の影響で入場料やスポンサー収入が激減し、約6億6000万円の最終赤字で3億円の債務超過に陥る見込みとなった中で渡りに船。過去6シーズン指揮し、チーム事情や地元行政を熟知する手倉森氏に白羽の矢を立てた。

手倉森氏は04年に仙台入り。J2時代の08年にヘッドコーチから昇格し、翌09年にJ2優勝でJ1再昇格に導いた。東日本大震災が発生した11年には4位、12年には史上最高位の2位と飛躍させ、16年リオデジャネイロ五輪日本代表監督、18年W杯ロシア大会の日本代表コーチなどを歴任。19年から長崎を率いていた。

来年は震災から10年という巡り合わせもあり、クラブ幹部は「希望の光」として復興の一助になったチームの再現に期待しているという。手倉森氏が10年にJ1へ上げて以降で最低の17位に沈んだクラブ。その再建を8年ぶり復帰に託す。