ルイジのハイジャンプがさく裂した-。29年ぶり3度目の出場の堀越(東京A)が丸岡(福井)に2-0で勝ち、初の8強入りを成し遂げた。前半30分にMF中村ルイジ(2年)が右サイドからのクロスに、高い打点のヘディングで先制点をマーク。あの人気ゲームのキャラクターをほうふつとさせるジャンプ力でチームの歴史を塗り替えた。5日の準々決勝では昨年度準優勝の青森山田と対戦。“全クリ”まであと3つだ。

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“ピヨ~ン”。前半30分。堀越のルイジが、ペナルティーエリア中央でダッシュジャンプ。右サイドからのクロスに対し、相手DFの頭上を越えた。本家マリオも驚きの?高い打点からのヘディングに、キーパーは1歩も動けない。放物線を描いたシュートは、ゴール右隅に吸い込まれた。

なつかしのあのBGMが聞こえてきそう。本人は「(マリオに)似ていましたか?」と笑う。かつてセパタクローに打ち込んでいたフィリピン人の父バリナリオジョージさんと、日本人の母の間に生まれたルイジ。168センチと決して上背があるわけではないが「昔からヘディングは得意でしたね」と自慢のジャンプ力を武器に、同校を初の8強へ導いた。

名前の由来は「3つくらい候補があって、響きがいいという理由で」。名前に関係なく、他の子どもたちと同じように、幼少期はゲームの「マリオカート」に熱中した。「ルイージは使ったことないです(笑い)。クッパを使っていましたね。クッパは強いので」。兄ケントリチャードさんもクッパ使いだったという。

そんな名前を、一時期は嫌だと感じることもあった。「いじられたりしたこともあった。でも、今は違う。世界に1つの名前。誇りに思います」。日本代表FWで、ベルギー1部のベールスホットでプレーする鈴木武蔵(26)の存在が前向きにしてくれた。「鈴木選手も昔はいろんな思いをしてきたと聞いたことがある。同じハーフの人が、こんなに活躍しているのすごいなと感じました」。

緑色がモチーフのルイージに対し、堀越のルイジは赤色が好き。だからこそ「マリオとルイージだったら、マリオが好きです。赤色なので」と笑う。スパイクも似た色のピンク。先日、購入したパーカも赤色だった。ちなみに堀越のユニホームはスクールカラーとされる紫だ。

次なる敵は優勝候補の青森山田。父に昔、言われた言葉がよみがえる。「どんな相手でも弱気になるな」。準々決勝は難易度が高いステージ。リセットボタンはきかない。チームメートにマリオはいない。だが、ルイジがいて、得意のハイジャンプもある。頂点まで飛び続ける。【栗田尚樹】

▽堀越・佐藤監督(初の8強に) 「連日の試合で心配したが、しっかり動いてくれた。冷静に対応してくれて得点につなげることができた。100点のデキ」