川崎フロンターレは13日、北海道コンサドーレ札幌との練習試合(45分×4本)で14-3と大勝し、約2週間の沖縄キャンプを打ち上げた。今後は1週間後に迫るガンバ大阪とのゼロックススーパーカップ(20日、埼玉ス)に向けて、川崎市内での調整に入る。

キャンプでは対外試合を3回行い、すべて大量得点で勝利した。結果は以下の通り。

▽5日J2水戸戦(45分×3本)5-1で勝利。得点者は脇坂、小林、知念、神谷×2。

▽9日J2北九州戦(45分×3本)6-3で勝利。得点者は塚川、レアンドロ・ダミアン、三笘、遠野、知念、宮城。

▽13日J1札幌戦(45分×4本)14-3で勝利。得点者はレアンドロ・ダミアン、山根、イサカ・ゼイン、長谷川×3、小塚、三笘×2、遠野×2、知念、田辺、家長

公式戦と試合時間は異なるが、昨季から掲げる「1試合3得点以上」をキャンプ全試合で達成した。

コロナ禍もあり現地での取材はかなわなかったが、オンライン取材での選手らのコメントから、キャンプを総括する。

◆守田英正、中村憲剛氏の抜けた穴は…

指揮官は昨季に引き続き、今季も「基本は4-3-3でやろうと思っている」と話す。MF守田がポルトガルに渡り、中村氏が引退した中盤には、新たにJ2松本から塚川を、大分から小塚を、名古屋からジョアン・シミッチを迎えた。新卒では桐蔭横浜大から橘田を獲得した。

▽MF塚川 5日の水戸戦後、守田が務めていた中盤の底(通称アンカー)のポジションに入ったことを明かした。同時に、練習では複数のポジションにトライしていることにも言及。「左右のサイドバック(SB)、センターバック(CB)、アンカー、右のシャドー。前の3枚以外は全部やっている。求められていることは、球際やハードワーク。どこで出ても、球際や1対1で負けちゃいけない」。

▽MFジョアン・シミッチ 高い技術で攻撃の起点となることが期待される。本人は「アンカーのほうがより特徴を生かせると思う。(シャドーと)2つの役割のどちらでも力になれるよう、もっと吸収したい」と話した。鬼木監督も「初日から練習に参加しているが、日に日によくなっている。自分たちのサッカーは距離を狭くしてボールを動かしていくので、慣れてきたら彼の技術はすごく生きると思う」と期待を寄せる。

最も注目が集まるアンカーのポジションについて、指揮官は「いろんな選手がチャレンジしているところ」と説明した。昨季は守田のほか、MF田中も同位置に入ることが多かった。タレントはそろったので、あとは指揮官がベストな組み合わせを見つけるのを待つだけだ。

◆コンバートは…

塚川が複数ポジションで練習しているように、鬼木監督は「いろんな選手に、いろんなチャレンジ、良さを出してほしい」と考えている。左SBではDF登里が左鎖骨を骨折しており、キャンプでは東海学園大から加入2年目のDF神谷が同ポジションに挑戦した。本職はCBだが、昨季は出場機会なしと悔しい結果に終わっている。

5日の水戸戦ではさっそく2得点を決め、「もともとFWの選手なので、攻撃が好き。相手のスペースに走り込むことは、今年からSBをやる中で意識している」と手応えを明かした。指揮官も「左足のキックの正確性、前に行ったときの感覚、相手を見てサッカーができるところもあるので、後ろ(CB)より自信をもってやっているところも見られた。その後CBもやったけど、安定していた。どこで自信をつけるのかは、意外と大事だと見て取れた」と話した。登里の復帰は待たれるが、新たな戦力の台頭にも期待がかかる。

◆指揮官の感触は…

5日の水戸戦後は「(新加入選手について)こういうことができるんだな、ここのポジションのほうが生きるかな、というのが見えたりした」。12日には「まだ短い期間だけど、最初の印象より、吸収するスピードは速いのかなと感じている」と、新チームに手応えを感じている様子だった。選手の特徴を見極めて、それを生かすサッカーで勝利するのが、鬼木監督の目指すところ。メンバーの入れ替わりがあった今季も、らしさあふれるサッカーで楽しませてほしい。【川崎F担当=杉山理紗】