セレッソ大阪が復帰要請していた元日本代表MF乾貴士(33)がスペインでのプレーを断念し、古巣復帰することが29日、分かった。11年7月以来、欧州での生活を経て約10年ぶりにC大阪に戻ることなる。

乾が昨季まで所属したエイバルは、スペイン1部から今季は2部に降格。6月限りで退団して無所属となった乾は、引き続き同国1部でのプレーを希望したが、納得いく移籍先は見つからなかった。一方で昨年から節目ごとに復帰を促してきたC大阪は、今回も推定年俸1億円のオファーで熱意を示してきた。

乾は7月以降、日本に帰国して主に関西で調整してきた。既に本拠地ヨドコウでのC大阪の公式戦を数試合観戦し、練習場にも顔を出している。コロナ禍の隔離問題もクリアされており、即合流可能な状態だという。最短で9月5日のG大阪とのルヴァン杯準々決勝第2戦(パナスタ)が復帰戦になる。

背番号はかつて乾がつけていた「7」ではなく「23」になる予定という。欧州で挑戦を続けるMF香川真司(PAOK)になじみの深い「23」をつけ、盟友の分までC大阪で活躍する心意気なのかもしれない。

C大阪は成績不振でレビークルピ前監督が更迭され、小菊新監督がコーチから内部昇格したばかり。前回在籍時から同監督との信頼関係は強固で、乾が上位再進出を狙うチームの救世主になる。

◆乾貴士(いぬい・たかし)1988年(昭63)6月2日、滋賀・近江八幡市生まれ。野洲2年時に全国高校選手権優勝、横浜を経て08年6月に当時J2のC大阪へ。10年にJ1復帰を果たし、11年8月に当時ドイツ2部ボーフムに移籍、その後はドイツ1部Eフランクフルト、スペイン1部エイバル、ベティス、アラベス、エイバルに所属。日本代表では18年W杯ロシア大会に出場するなど国際Aマッチ通算36試合6得点、J1通算54試合9得点。169センチ、63キロ。