J1から数え5つ目のカテゴリー、“J5”に当たる関西サッカーリーグ1部のおこしやす京都が、横浜FCの元日本代表FWカズ(三浦知良、54)獲得に乗り出していることが14日、分かった。

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すでに、JリーグやJFLの計4クラブが獲得に乗り出している。そこに、地域リーグのおこしやすも参戦した。カズは近く、各クラブと話し合いの場を持つ可能性がある。また、J2に降格した横浜FCはカズが移籍する場合、完全移籍ではなく期限付き移籍(レンタル)という意向を持っていることも判明した。キングの去就から、目が離せない。

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カズ獲得に、おこしやす京都も参戦した。カズの元にはすでにJ2琉球、J1から数え4つ目のカテゴリーのJFLから鈴鹿と高知、さらに海外からはアルビレックス新潟シンガポールからのオファー(獲得の申し出)が出ている。そこに地域リーグのおこしやすが加わった。複数の関係者によると、カズは近日中に各クラブと話し合いの場を持つようだ。

99年から2年間、当時J1の京都に在籍していた。おこしやすの本拠地は、当時プレーしたたけびしスタジアム京都(西京極)で、まさに思い出の地。チームも、地域リーグのクラブではあるが実力十分。今年6月16日には天皇杯2回戦で、4つもカテゴリーが上のJ1広島に5-1で快勝。歴史的なジャイアントキリング(大番狂わせ)を成し遂げ、日本中に“おこしやすここにあり”と猛アピールした。

さらに、リーグ1位で、JFLへの昇格をかけた「全国地域チャンピオンズリーグ」にも出場。決勝ラウンドで敗れ、あと1歩で入れ替え戦出場を逃し、昇格こそならなかったが、その強さ、さらにチームとしての将来性をしっかりと示している。

カズは、移籍先について「地域リーグも含め、カテゴリーは関係ない」と明言しており、おこしやすも候補の1つとなりそうだ。さらに、横浜FC時代の同僚の元日本代表MF松井大輔が、フットサル転向を報告した際、カズから「またサッカーを一緒にできればいい。おこしやす京都に集合で」と言われたことを明かしている。ともに京都でプレーしたことがあり、縁ある地を引き合いに出したジョークだとみられるが、これが実現する可能性も出てきた。

なお、契約延長オファーを出し、残留を希望する横浜FCは最終的にカズの意向を尊重するという。ただ、17年間も在籍した功績者、レジェンドであるキングが移籍を決断をした場合は、完全移籍ではなく、レンタル移籍を提案する方針だという。

◆おこしやす京都AC 京都市で活動する関西リーグ1部所属のアマチュア主体のクラブ。05年アミティエ・スポーツクラブの社会人チームとして発足、11年から関西リーグ1部、18年現クラブ名に変更。Jリーグ昇格に必要なJリーグ百年構想クラブへ19年に申請も、1度取り下げて再準備中。今季は関西1部で4度目の優勝。チームカラーは紫と黄。添田隆司社長(28)は東大卒でJ3藤枝などでプレー。瀧原直彬監督(36)。

◆おこしやす 「いらっしゃいませ」の意味で「おいでやす」より丁寧な京ことば。18年からクラブ名に使用されたのは、国際都市・京都をすぐにイメージでき、世界共通のサッカーを通じて「各地から見に来てほしい」という願いが込められている。