浦和レッズが、劇的な展開で3大会ぶりの天皇杯優勝を飾った。1-1の後半ロスタイム。「お祭り男」が黙っていなかった。途中出場したDF槙野が、右CKからの流れで、ヘッドで決勝点をもぎ取った。契約満了で今季限りで退団する男は、喜びを爆発させ、ユニホームを脱ぎ、ゴール裏のサポーターの前へ駆け寄った。

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槙野 お祭り男、エンターティナーですから。全部持っていきました。西川選手から“すべて持っていけ。攻めてゴールをとれ”と。西川選手に背中を押されました。

浦和は前身の三菱重工時代の4度を含め、8度目の頂点。慶応BRBに並び、歴代最多タイ記録のチャンピオンとなった。Jリーグ創設以降では4度目で、こちらは鹿島アントラーズの5度に次ぎ、ガンバ大阪の4度と並び2位タイとなる。

今季限りで現役引退するMF阿部勇樹(40)のために-。「阿部ちゃんに天皇杯を」。その合言葉で、頂まで登り詰めた。ロドリゲス監督は「阿部がカップを掲げることを全員イメージしてやっている」と、チームの一体感を口にしていた。苦楽をともにしてきた守護神・GK西川は「阿部選手にカップを掲げて貰いたい」と気合の入った表情で、ゴールマウスを死守。ベンチ外となり、スタンドから戦況を見つめた「阿部ちゃん」を最高の形で送り出した。

 

▽日本協会の田嶋幸三会長 浦和はロドリゲス監督のもと、クラブがひとつにまとまっての優勝だと思う。槙野選手のゴールは映画になるようで、情熱が表れたもの。引退する阿部選手の功績に感謝するとともに、経験を日本のサッカーのために還元して欲しいと願っている。