<J2:大分2-2横浜FC>◇第38節◇4日◇大銀ド

 横浜FCのFWカズ(三浦知良、43)が、チームを引っ張ってきたベテラン選手たちに「惜別ゴール」を贈った。この日は今季限りの退団が決まっているDF早川知伸(33)と戸川健太(29)MF小野智吉(31)が先発フル出場。9年目でチーム最古参の小野と8年目の早川は、ともに06年のJ2優勝に貢献しただけに「特別な思いがあった」と言って目を潤ませた。

 早川と小野にとっても、カズは特別な存在だった。浦和を戦力外となってJ2に活躍の場を移した早川、湘南を戦力外となった後にアルバイトをしながらJ復帰を目指した小野。05年に雲の上の存在がチームに来た。早川は「カズさんがすごいのはメンタル。精神力があるからこそ、技術も体力も衰えない」。小野は「本当にサッカーが好き。43歳でも、中学生のような気持ちを忘れない」と話した。

 試合後、カズは早川と抱き合い、耳元で「(ゴールは)プレゼントだよ」とつぶやいた。専用練習場もなく人工芝で練習し、コインシャワーで汗を流した。苦労を分かち合った仲間との別れ。早川はこの日引退を口にした。小野も引退が濃厚だという。「一緒にできたことが、人生の財産です」。小野はカズに感謝を込めて話していた。