名古屋の大分・別府キャンプで、急激に評価を上げている無名の新人がいる。名古屋のU-18(ユース)から昇格したMF水野泰輔(たいすけ、18)。身長170センチと小柄だが、中盤での落ち着いたボールさばきが光る。戦術練習でも主力を相手に中央から好パスを散らし、サラリとアピール。ドラガン・ストイコビッチ監督(46)のハートもつかんだ。

 まだ寒さ厳しい大分・別府で、背番号30を背負うルーキーが時折、司令塔の代名詞である“10番”のようなプレーをみせている。戦術練習では中盤中央に入り、ためを作って、うまくサイドの選手にスルーパスを供給。ボールの持ち方が良く、パスも正確で味がある。パスにメッセージを込めて前線の味方をうまく生かすことができる、名古屋にはいないタイプのMFで、一気に評価を上げた。ストイコビッチ監督も「ミズノは、クレバーなプレーをする」と自らその名を挙げ、好印象を口にし続けている。

 もちろんJ屈指の戦力を誇る名古屋で、高卒ルーキーが簡単にポジションを手に入れることはできない。水野もそれは承知している。「もっと判断のスピードを上げて、守備面でもしっかり強さを出してやっていきたい」と課題を持って、初のキャンプを過ごしている。