札幌の元日本代表FW中山雅史(45)が4日、札幌市内のホテルで現役引退会見を行った。冒頭に「本日はお忙しい中、集まっていただきありがとうございます。私、中山雅史は、今シーズンをもちまして、第一線を退くことを決めました。長い間、ありがとうございました」と、引退を表明した。19年間のプロ生活にピリオドを打った。

 引退を決断した理由に、痛みの治まらない膝を挙げ「体が反応してくれない。あとは原因が痛み。それを引きずりながらでは勝負にならない。勝負するステージに立てていないと感じた。」と明かした。最近2年間はリハビリ生活が続き、ピッチに立つこともできなかった。

 今季ホーム最終戦横浜戦(11月24日)で後半45分から途中出場を果たしたが「出た3分ちょっと、グラウンドでできることを出し切ろうと思って立ちましたが、勝利に結びつけなかった。立てたことにチーム、監督、選手に感謝。ただ、出し切れない自分に未熟さを痛感したし、もっとうまくなりたいと。次の週も一生懸命練習した。立つことはできなかったが。でも、去年から考えられないこと」と、復帰の喜びと、チームの力になれなかった悔しさが入り交じった。

 ただ、引退会見でもゴン節は健在だ。「まだ未練タラタラ。本当に未練タラタラ。これでリハビリ終わるつもりない。それでバリバリになったら、カムバックするかもしれない。そのときは会見を開くんで、みなさんきてくれますか!?」。Jリーグ草創期からファンを魅了したユニークなコメントは、最後まで変わらなかった。「若い選手が活躍する姿にジェラシーも感じる。そのジェラシーが原動力でもあったし、感じなくなったらおれも終わり。まだ感じている。ということはまだ終わりじゃないかもしれない」。内に秘めた思いも、笑いとともにはき出した。

 ただ、女優の生田智子夫人の話になると、抑えきれない感情もかいま見せた。「迷っているときも、『好きなように、思うようにやってくれ』と…。言ってくれました…。その言葉に感謝している。好き勝手やらしてもらって、サポートしてくれた。いろんな苦労もあったけど、いい思い出と受け取ってくれているみたいで、本当にうれしい」。涙ぐみながら、最後までこらえた。

 今後に関しては「白紙」と強調。「サッカーが文化になってほしい。関心をもってほしい。みんなにサッカーを愛してほしい。いろんな面から働きかけていければ」とサッカーに携わり続ける。

 そして最後は立ち上がって言った。「こんな下手くそな選手をサポートしていただき本当にありがとうございました。まだまだこの情熱は捨てません。何かに生かしていきたい。それが復帰への道につながるかもしれません。みなさんの熱いサポートを感じ、ここまでプレーできたことを胸に秘め、また生きていきたいと思います。長い間、ありがとうございました!」。堂々たる引退宣言だった。