川崎F入りが正式発表された神戸の元日本代表FW大久保嘉人(30)が9日、移籍に至った経緯を激白した。

 この日は神戸市内で長崎・国見高時代のコーチだった原氏と、クロスカントリーなど約1時間半の走り込みを実施した。

 自主トレ後に取材に応じた大久保は、神戸への愛着と、新天地への思いを語った。

 「本当は移籍という選択肢は、あまり頭にはなかった。(昨年末に)神戸をJ2に落としてしまって、すごく悔しかったし、また1から頑張らないとアカンという気持ちでいっぱいやった。今年1年、J2でやって、1年でJ1に戻すことができれば、それはそれで、すごくキレイな話やと思ったし、そういう気持ちでいたんです。でも、クラブは俺に対して、そういう思いはなかったようなので。腹をくくるしかないのかな…と、感じましたね」

 神戸との契約は13年シーズンまで残っていた。海外を含め、多くのクラブから獲得の打診を受けたものの、大久保の心の中は残留で固まっていたという。それが昨年末の契約交渉の席で、強化部から他クラブへの移籍を勧められた。まさかの肩たたきだった。そのフロントの態度を見て、神戸から去る決意を固めた。

 「俺は神戸の街が大好きやし、家族もいるから。ここから離れたくはなかった。でも、クラブから『来年も一緒に頑張ろう』という言葉は一切、もらえなかった。あっけなかったですね。(他クラブへ)出ざるを得ない状況になった。寂しいよね。ほんと、寂しい。こんなに簡単なんかな~って。すごく思いました」

 心のモヤモヤを晴らすため、クリスマスには家族で海外旅行に出かけた。12月28日に帰国すると、代理人を通じて川崎Fから熱心なオファーが届いたことを知らされた。突然の獲得の話をもらい、移籍を即決。その場で返事をしたという。

 「必要とされるところに行く。選手として、それが1番やと思う。俺は川崎Fのために、ゴールを決めまくりたい。神戸から離れるのは、すごく、すごく、寂しいです。でも、川崎で活躍することが、応援してくれた人、支えてくれた人への恩返しになると信じている。死ぬ気で頑張ってくる」

 寒風が吹く駐車場で、20分ほど話した後、大久保は最後の言葉をつないだ。

 「神戸に来てすぐ、07年から08年はすごく楽しくサッカーができた。このチームはいいチームやし、仲間もいい仲間やった。昨年、西野監督の下でやれた半年間も、俺の中では最高の勉強になった。やっぱり、西野さんはすごいよね。この経験は一生、忘れることはないね。あとはクラブ力。クラブとしての真の力が出てくれば、最高のクラブになると思います」