敗因を分析し、きっちりとリベンジVを果たす。浦和MF柏木陽介(27)が、全体練習への完全合流を前に、あらためて今季への意気込みを語った。

 自主トレ中に左脚肉離れのケガを負い、チームの宮崎合宿(16~26日)でも戦術練習にはほとんど参加しなかった。しかし、あせる様子はまったくない。

 柏木

 ムリをしたくなかっただけ。ケガは確実に良くなってきている。フィジカルトレーニングでも、他の選手と一緒に走れている。身体が仕上がってきているので、あとはサッカーをするだけ。新シーズンに向け、結果的にいい入り方になったと思う。(28日の)浦和に帰ってからの練習で、みんなと合流したい。そのイメージ通りに、ずっと調整を進めてくることができた。

 25日の大分との練習試合を、ピッチ外から真剣な表情で見守った。1・5列目のポジションには、FW石原、武藤、高木と重点的な補強がなされた。彼らのプレーをみながら、今季の自分のポジションについて、思いをめぐらせていた。

 柏木

 あらためて、クラブは今のうちのサッカーに合っている選手を補強したのだと感じた。チームのために献身的にできる選手がそろった。新しい陣容をみると、自分がボランチに下がる可能性は十分にあると思う。前ならシーズン10アシストと目標を立てるところだけど、どこをやるのかはまだ分からない。ただ、自分はタイトル優先でプレーしている。チームに勝つために求められることをするだけ。

 リーグ戦終盤の失速で、昨季はG大阪に逆転優勝を許した。同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。何が問題だったのか。雪辱へ向け、冷静に敗因分析をしている。

 柏木

 勝っていた時期にできていたことが、残り7試合で急にできなくなった。それまではずっと強気でサッカーができていたのに、消極的に、守備的に、失点しないようにしようというサッカーに変わってしまった。

 もう一つの要因として、直接対決となった第32節G大阪戦への臨み方を挙げた。

 柏木

 ここで優勝を決めよう、という雰囲気をつくりすぎた。引き分けておいて次戦以降でもいいとか、まだ最終節までに試合があると思えれば、展開はもっと違ったかもしれない。あの時はみんな盛り上がってしまっていたから、仕方ないところもあるけど、そこを冷静に戦えるチームになれば、また1つレベルがあがる。

 自分自身を振り返る機会もあった。オフに初の著書となる『「自信」が「過信」に変わった日

 それを取り戻すための2年間』をまとめた。

 柏木

 最後に何度も自分で読み直して、気づくことはあった。振り返ってみると、サッカーが充実していた時期は、生活自体も充実していた。それだけ自分にとって、サッカーは大きなものだなと再確認した。そして自分は、自分の周りの人にとても恵まれているなとも思った。みんなのおかげで、自分はここまで来れたと。本当は優勝して本を出したかったけど…。でも自分を見つめ直す上ではいい機会になった。

 支えてくれた家族や周囲の人々へ、そして何より大好きなサッカーへの「恩返し」として、今季は何としても悲願のリーグ優勝を果たすつもりだ。