<J1:鹿島2-0東京V>◇第2節◇16日◇味スタ

 王者鹿島がライバル浦和とは好対照な開幕ダッシュを切った。東京V戦は相手の猛プレスに後半中盤まで苦しめられたが、守備陣が耐え切って終盤に地力を発揮。FWマルキーニョスの2得点で勝負を決定づけて2連勝を飾った。浦和が昨年から5戦連続無得点のクラブワースト記録をつくるのとは真逆に、これで5戦連続無失点とJ歴代3位タイの記録を樹立。低迷するライバルを尻目に、首位街道を走る。

 鹿島は王者の風格が備わっている。後半29分に先制。その後、DF中後、伊野波を守備要員として投入しつつ、DF岩政はDF内田に「勝っていても前へ行け」と指示。結果的に決定的な2点目が生まれた。ゼロックス杯の敗戦で東京Vのラモス・エグゼクティブディレクター(ED)に「判定のせいだなんて言い訳だ」と非難されたが、この日はラモスEDに「穴がない」と言わせたほどだ。

 堅守というよりどころがあるから勝ちきれる。5戦連続無失点はチーム新記録でJ歴代3位の記録。中でも青木の成長は大きい。この日も何度も好カットを見せた。チーム在籍8年目の中堅だが、最近まで個人の応援歌がなかった。昨年大きく成長して、やっと応援歌が誕生。青木も試合中に気づき「いいプレーをすると歌ってもらえるので励みになる」。

 浦和を筆頭に優勝候補のクラブはオフに軒並み大型補強を敢行。対照的に鹿島は伊野波以外は目立った補強をせず、現有戦力の成長を優先させた。連係の構築に戸惑う浦和などを尻目に2連勝。それにもオリベイラ監督は「他はこれから伸びてくるし、鹿島が断トツと思ってはいけない」。王者に抜かりはない。【広重竜太郎】