<Jサテライトリーグ:水戸3-1浦和>◇6日◇水戸市立サッカー場

 浦和の福田正博コーチ(41)が「監督」デビュー戦でほろ苦い黒星を喫した。監督交代でサテライトのアシスタントからメーンの立場に昇格した同コーチは、6日のアウェー水戸戦で初采配を振るった。エンゲルス監督から選手選考を含めた全権を委任された初陣だったが、序盤で2失点を喫する苦しい展開となって1-3で完敗。将来の浦和監督は試合後、指導者としてレベルアップすることで若いチームを引っ張っていく姿勢をみせた。

 ミスターレッズの初采配だ。「監督」福田コーチはベンチから立ち上がらず、不動を貫いた。逆転を狙って後半24分に選手交代を決めたが、ベンチからの指示は大槻コーチに任せた。先発3人、控え全員がユース選手。1-3からの劣勢を打開するにはコマ不足だったが「与えられた中でやっていくことが仕事。日々、いろいろ学ばないといけない。ぼくが成長しないと選手も成長しない」と厳しい表情で反省した。

 今季の入閣時はサテライトのアシスタントコーチだった。しかしオジェック前監督が解任され、新体制となってメーンコーチに昇格。肩書はコーチのままだが、この水戸戦はエンゲルス監督に全権委任されていた。スタメン編成、選手交代、ミーティングなど、すべての監督の仕事を担った。前半14分で2失点したことにも「目覚めるのが遅すぎる」と指揮官らしく厳しい態度も示した。

 初采配となれば独自のカラーを出そうと指示が多くなりがちだが、福田コーチは違った。ゲームキャプテンに指名されたGK山岸は「若手は試合前に細かく言われても無理。福田さんは端的で簡潔」と言う。エンゲルス監督も「福田と水戸戦の相談したら、私と同じ考え方だったので任せた」と全幅の信頼を寄せた。

 現在、コーチ陣でJ監督ができるS級の資格を保持するのは福田コーチのみ。浦和幹部に「近い将来の監督。これが第一歩」と期待されている。初戦は黒星だったが、「指揮官」としてのキャリアをスタートさせた。【藤中栄二】